真珠湾で原爆展 死者真珠湾2390人VS広島・長崎21万人

旧日本軍による奇襲攻撃で、日米開戦の舞台となった米ハワイの真珠湾で2020年夏、広島市と長崎市が初めて原爆展を開くという。会場は、湾内に浮かぶ戦艦ミズーリ記念館。米軍が原爆を投下した1945年8月の翌月にはその甲板上で日本代表団が降伏文書に調印した。太平洋戦争を象徴する場所での開催に、被爆者らは「互いの理解を深める機会となれば」と期待を寄せる。

2月7日に発表した広島市によると、ミズーリ記念館では7月上旬~9月3日に開催。その後、ハワイ大ヒロ校で10月上旬まで開くという。展示する資料は未定だが、原爆に遭った人が当時着ていた衣服や被爆者が描いた絵画など、広島と長崎の両原爆資料館が所蔵する20点程度が出展される見通し。被爆者が体験を語る機会も設けるという。

両市は95年7月の米ワシントンを皮切りに、欧米を中心とした19カ国で計59回の原爆展を開いてきた。ハワイでの開催は今回が初めてで、州都ホノルル市と姉妹都市提携を結ぶ広島市の松井一実市長が2019年に現地を訪問。その際に現地の広島県人会から「被爆75年に向けた企画をするのなら協力したい」との申し入れを受け、ハワイの関係先と調整していたという。

ただ米国では、原爆の投下が終戦を早めたとする「正当化論」が根強く残る。広島、長崎では45年末までの推計で合わせて21万を超える人が犠牲になったが、原爆の非人道性を指摘する行為に対しては、「被害の側面だけを強調している」との反発もある。

広島原爆を投下した「エノラ・ゲイ」を展示する米スミソニアン博物館では、戦後50年の95年に企画した原爆展が退役軍人らの反発で事実上の中止に追い込まれた。16年に歴代の米大統領としては初めてオバマ氏が広島を訪問した後も、米ロスアラモスで19年に企画された原爆展が中止になった。ロスアラモスは米軍が原爆を開発した「マンハッタン計画」の拠点で、共催予定だった現地博物館から「住民の理解を得られない」との意向が伝えられたという。

旧日本海軍による1941年12月8日の真珠湾攻撃で、米側は民間人49人を含む2390人の死者を出した。降伏調印式の記憶を刻むミズーリが記念館として停泊する近くには、奇襲攻撃により沈没した戦艦アリゾナが今も海中にあり、花をたむける人が絶えない。

日本側の加害が強調される地での原爆展開催に、広島県原爆被害者団体協議会(坪井直理事長)の箕牧智之理事長代行(77)は「互いの立場を理解したうえで、被爆の実相が伝わればうれしい」と期待。広島原爆資料館の滝川卓男館長は「戦争の記憶は次世代に引き継いでいくことが大切で、特に若い人に訪れてほしい」と話す。(毎日)

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