TBS臓器移植手術放送で両親の訴えを退ける

4年前、脳死の判定を受け、臓器移植のために肺を提供した広島県の男の子の両親が、手術の様子などを放送したTBSの番組で精神的苦痛を受けたと訴えた裁判で、広島地方裁判所は「番組内容が男の子の尊厳を侵害するとはいえない」として、訴えを退ける判決を言い渡した。

平成29年5月、岡山大学病院で、国内で当時、最年少の子どもへの肺の移植手術が行われた際、脳死判定を受けて肺を提供した広島県の当時1歳の男の子の両親は、この2か月後に手術の様子などを放送したTBSのテレビ番組を見て、精神的苦痛を受けたとして、TBSなどに賠償を求める訴えを起こしていた。

両親は、男の子の肺が映像加工されずに放送され、子どもの尊厳が踏みにじられたなどと主張し、裁判では亡くなった子どもを慕う思いが侵害されたかどうかが争点になった。

28日の判決で、広島地方裁判所の森實将人裁判長は「移植医療の現場の実態について視聴者の理解を深めるという番組の目的に照らすと、肺の映像を加工することなく放送するのは相応の社会的意義がある」と指摘した。

そのうえで「番組内容は男の子や両親の社会的評価を下げたり、男の子の尊厳を侵害するようなものとはいえない」として、訴えを退けた。

判決について、亡くなった男の子の母親は「言葉もありません。今は何も頭に入ってきません」とするコメントを出した。

一方、TBSテレビは、「主張が認められたと理解しますが、今後も制作や放送にあたって細心の配慮を行うことを徹底してまいります」とするコメントを出した。(NHK広島)

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