2012年、窃盗冤罪事件に巻き込まれた元RCCアナが当時を振り返る
2012年、RCC(中国放送)のフリーアナウンサー・煙石博さん(74)が窃盗の容疑で逮捕された事件は、警察がでっち上げた冤罪だった。17年に無罪を勝ち取った煙石さんが、当時のことを振り返っている。日刊ゲンダイが報じた。
【冤罪だった】広島市民と広島県警の罠にハマった元RCCアナウンサーが逆転無罪
始まりは2012年10月11日の朝だった。
「広島南警察署の刑事2人が突然訪ねてきたんです。捜査の協力依頼だと思って家に上がってもらい、名刺交換もしました。でも様子が違う。『近くの銀行で客が置き忘れた封筒からカネを盗って左手で左胸のポケットにねじ込んだじゃろう!』と決めつけるように言ってきました。いくら入ってたのかと聞いても金額は言ってくれませんでした」
9月24日、煙石さんは家の近くにある広島銀行大河支店で500万円を出金した。同じ店内にいた女性が6万6600円を盗まれたと被害を届けた。カネを置いたという店内の記帳台を撮影した防犯カメラを確認すると、そこに触れていたのは被害者とされる女性と封筒を発見した警備員、それと煙石さんのみ。警察は煙石さんを疑った。
「『盗っていない』と一生懸命何べんも訴えたんですが、『防犯カメラの映像に写っとるんじゃ』と聞き入れてくれませんでした。『動画は無理でもポラロイドに撮って現場を見せてくれませんか』と言いましたが、それも『ダメだ!』と」
刑事と煙石さんとの間でかなり激しいやりとりになり、しまいには連行されてしまう。
「警察が乗ってきたワゴン車に無理やり押し込められ、逮捕状の提示がないまま車中で手錠をかけられました」
逮捕状の提示もないまま車内で手錠をかけられる
広島南警察署に到着後は取調室のようなところに通され、その後は留置場へ。そこは毛布1枚とトイレ、巻き紙のトイレットペーパーしかない、薄暗い畳4畳の部屋だった。小窓から外の光が入ったが、逃亡できないように分厚いガラスがはめられていた。
「眠ると殺されるんじゃないかという恐怖心で、2晩もの間、一睡もできませんでした。疲れ果てて3日目は寝てしまいましたけども、2時間おきに目が覚めました」
取り調べは3日目ぐらいから連日行われた。煙石さんの言い分を聞いて真実に迫る類いのものではなく、すでにあるストーリーに沿った自白を促そうというものだった。
「体の大きなコワモテのベテラン刑事が、机を叩いたり、顔を近づけて威嚇したり、言葉で脅してきたりしました」
分厚いファイルをペラペラとめくりながら、「人のウワサも七十五日。窃盗は軽い犯罪だ。すぐに社会復帰できるから早く自白しろ」と促したり、「裁判するんだったらしてみろ。裁判所で防犯カメラをみんなで見ておまえは恥をかくんだ」と挑発してきたりした。人権を無視した取り調べであったが、頑として容疑を否定し続けた。
「先祖代々今の地で生活し、私もそこで生まれ、生きてきました。大河支店は家の近くの馴染みの銀行。行員さんたちはほとんど顔見知りです。狭い店内ですし、彼らは客の方を見て仕事をしている。どうやって封筒からお金を取り出してポケットに突っ込めるんですか。絶対できません!」
勾留中の28日間は孤独で不安の日々
「有無を言わさずジェットコースターに乗せられ、あっという間にこの世の果ての非日常の世界に突き落とされたような感じでした。弁護士さんとは面談室で話せましたが、家族とは1日15分だけ。土日は面会できません。そばに監督官がいて事件について話そうとすると『それはいけません』と制止され、メモを持つことも受け渡しも禁止。情報をシャットアウトされるのはすごく孤独で不安でつらいことです。もちろん携帯電話も取り上げられてますので、外部との連絡はできず、完全な孤立状態。当時のメモに『ここでは涙の種にもまだなれない路頭に迷った悲しみと、薄暗い地獄の底で、悲壮な怒りがドロドロとしているだけの、時が止まった日々。この世から一切置き去りにされた人間ではない自分があるのみの28日間であった』と記しています」
保釈されても気持ちは晴れない
「何がなんだかわからない状況でした。弁護士に聞くと、保釈請求は1度目じゃなくて3度目に認められたとのこと、保釈金は350万円だったと知らされました」
自宅に帰ることができたが、心は晴れなかった。
「当時の日記には、『これから冤罪という濡れ衣を晴らしていくために、その大変さすら想像がつかない。気の遠くなる戦いが続くようだ』と。五里霧中で真っ暗闇にいるような心境だったんです」
煙石さんが無罪を勝ち取るのは4年以上の月日が経過した後のことだった。
【冤罪だった】広島市民と広島県警の罠にハマった元RCCアナウンサーが逆転無罪
始まりは2012年10月11日の朝だった。
「広島南警察署の刑事2人が突然訪ねてきたんです。捜査の協力依頼だと思って家に上がってもらい、名刺交換もしました。でも様子が違う。『近くの銀行で客が置き忘れた封筒からカネを盗って左手で左胸のポケットにねじ込んだじゃろう!』と決めつけるように言ってきました。いくら入ってたのかと聞いても金額は言ってくれませんでした」
9月24日、煙石さんは家の近くにある広島銀行大河支店で500万円を出金した。同じ店内にいた女性が6万6600円を盗まれたと被害を届けた。カネを置いたという店内の記帳台を撮影した防犯カメラを確認すると、そこに触れていたのは被害者とされる女性と封筒を発見した警備員、それと煙石さんのみ。警察は煙石さんを疑った。
「『盗っていない』と一生懸命何べんも訴えたんですが、『防犯カメラの映像に写っとるんじゃ』と聞き入れてくれませんでした。『動画は無理でもポラロイドに撮って現場を見せてくれませんか』と言いましたが、それも『ダメだ!』と」
刑事と煙石さんとの間でかなり激しいやりとりになり、しまいには連行されてしまう。
「警察が乗ってきたワゴン車に無理やり押し込められ、逮捕状の提示がないまま車中で手錠をかけられました」
逮捕状の提示もないまま車内で手錠をかけられる
広島南警察署に到着後は取調室のようなところに通され、その後は留置場へ。そこは毛布1枚とトイレ、巻き紙のトイレットペーパーしかない、薄暗い畳4畳の部屋だった。小窓から外の光が入ったが、逃亡できないように分厚いガラスがはめられていた。
「眠ると殺されるんじゃないかという恐怖心で、2晩もの間、一睡もできませんでした。疲れ果てて3日目は寝てしまいましたけども、2時間おきに目が覚めました」
取り調べは3日目ぐらいから連日行われた。煙石さんの言い分を聞いて真実に迫る類いのものではなく、すでにあるストーリーに沿った自白を促そうというものだった。
「体の大きなコワモテのベテラン刑事が、机を叩いたり、顔を近づけて威嚇したり、言葉で脅してきたりしました」
分厚いファイルをペラペラとめくりながら、「人のウワサも七十五日。窃盗は軽い犯罪だ。すぐに社会復帰できるから早く自白しろ」と促したり、「裁判するんだったらしてみろ。裁判所で防犯カメラをみんなで見ておまえは恥をかくんだ」と挑発してきたりした。人権を無視した取り調べであったが、頑として容疑を否定し続けた。
「先祖代々今の地で生活し、私もそこで生まれ、生きてきました。大河支店は家の近くの馴染みの銀行。行員さんたちはほとんど顔見知りです。狭い店内ですし、彼らは客の方を見て仕事をしている。どうやって封筒からお金を取り出してポケットに突っ込めるんですか。絶対できません!」
勾留中の28日間は孤独で不安の日々
「有無を言わさずジェットコースターに乗せられ、あっという間にこの世の果ての非日常の世界に突き落とされたような感じでした。弁護士さんとは面談室で話せましたが、家族とは1日15分だけ。土日は面会できません。そばに監督官がいて事件について話そうとすると『それはいけません』と制止され、メモを持つことも受け渡しも禁止。情報をシャットアウトされるのはすごく孤独で不安でつらいことです。もちろん携帯電話も取り上げられてますので、外部との連絡はできず、完全な孤立状態。当時のメモに『ここでは涙の種にもまだなれない路頭に迷った悲しみと、薄暗い地獄の底で、悲壮な怒りがドロドロとしているだけの、時が止まった日々。この世から一切置き去りにされた人間ではない自分があるのみの28日間であった』と記しています」
保釈されても気持ちは晴れない
「何がなんだかわからない状況でした。弁護士に聞くと、保釈請求は1度目じゃなくて3度目に認められたとのこと、保釈金は350万円だったと知らされました」
自宅に帰ることができたが、心は晴れなかった。
「当時の日記には、『これから冤罪という濡れ衣を晴らしていくために、その大変さすら想像がつかない。気の遠くなる戦いが続くようだ』と。五里霧中で真っ暗闇にいるような心境だったんです」
煙石さんが無罪を勝ち取るのは4年以上の月日が経過した後のことだった。
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