核兵器禁止条約発効決定しても実現ほぼ不可能

核兵器禁止条約の発効が決まったことを受けて、被爆者などが広島市の原爆ドームの前で集会を開き、日本政府に条約への参加を訴えていくことを確認したという。

広島市の原爆ドームの前には、広島県の7つの被爆者団体の呼びかけで、湯崎知事と松井市長、それに市民などおよそ200人が集まった。

参加者は、条約を批准した50の国と地域の旗を掲げ、条約の発効が決まったことを喜んだ。

集会の中で、日本被団協の全国理事で広島県被団協の箕牧智之理事長代行が「この日が待ち遠しかった。日本が入っていないのは残念だが、50の国と地域のみなさんに感謝したい」と述べた。

もう1つの広島県被団協の佐久間邦彦理事長は、「これまで核兵器廃絶を求めて署名を行ってきたが、条約の発効から廃絶に向かうよう、さらに活動を続けたい」と述べた。

そして、NGO「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」の森瀧春子共同代表は「この地は多くの被爆者が亡くなった場所だ。きょうは多くの苦しみからうまれた核兵器禁止条約を喜びたい。核兵器は1個たりとも許すことはできないので、これからもたたかっていきたい」と決意を述べた。

参加者たちは「唯一の戦争被爆国日本も批准を」などと書かれた横断幕を掲げ、日本政府に対し条約への参加を訴えていくことを確認した。

核兵器禁止条約の発効が決まったことについて広島市の松井市長は、記者団に対し、「核兵器廃絶に向けてのとても重要な一里塚だ。核抑止力に頼ることそのものを根底から考え直させる条約が出来たと思う」と評価した。

その上で松井市長は、「核兵器禁止条約の理念を実現するための議論がこれから始まるので、日本政府は締約国会議にオブザーバーとして出席し議論に参加するなど、これまで主張してきた『橋渡し』を本当に行い、条約を実効性あるものにするための役割を果たしてほしい」と述べ11月にも、長崎市の田上市長とともに上京し政府に直接、こうしたことを伝える考えを示した。(NHK広島)


核兵器禁止条約 日本政府は有効性疑問視 野党は歓迎

10月25日、政府・自民党からは、核兵器禁止条約の発効決定について実効性を疑問視する声が相次いだという。岸信夫防衛相は山口市で記者団に「核保有国が乗れないような条約になっており、有効性に疑問を感じざるを得ない」と述べ、自民党の柴山昌彦幹事長代理はNHK番組で「現実味が非常に薄い」と語った。

4年前に国連で核兵器禁止条約に向けた交渉開始を求める決議案に日本は反対した。当時官房長官だった菅義偉首相は「核兵器国と非核兵器国の亀裂を深め、核兵器のない世界の実現が遠のく」と説明。日本はその後の交渉会議も初回以外は参加しなかった。

北朝鮮などの核の脅威がある中、通常兵器だけでの抑止は困難であり、日米同盟の下で核兵器を有する米国の抑止力維持が必要との考えだ。

公明党の石井啓一幹事長はNHK番組で「大いに歓迎する」、日本維新の会の馬場伸幸幹事長も「歓迎すべきだ」と語り、共産党の志位和夫委員長は「心から歓迎する」との談話を発表。立憲民主党の福山哲郎幹事長はNHK番組で歓迎の意を示した上で「アジアの安全保障や北朝鮮の状況を考えると、核の傘との両立をどうするのか。非常に難しい」と語った。(産経)



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