脇本元警部補は当時の名和振平県警本部長に捜査の中止を求める書面を提出していた

「(脇本警部補に)金を貸している」内部から提供された情報を基に県警が調べると、脇本警部補は競馬にはまり、同僚や金融機関から借金していたことが判明。総額は数千万円に上っていた。

脇本警部補は14年9月~17年3月に同署生活安全課に勤務していた。盗まれた現金を含む9053万6円を17年2月に押収した広域詐欺事件の捜査にも関わり、金庫に大金があることを知っていた。

現金の盗難が発覚して7日後の5月15日、県警は初めて任意で脇本警部補を聴取した。携帯電話の通話や会員制交流サイト(SNS)の履歴も調べた。自宅や実家の家宅捜索もした。

だが、盗まれた現金はなかった。

再三の任意聴取でも脇本警部補は一貫して容疑を否認した。

関係者によると、17年5月末には、当時の名和振平県警本部長に捜査の中止を求める書面も提出。「罪を犯したと疑うに足りる相当の理由はない」などと主張していたという。

周囲には「警察はいくら自分が犯人ではないと言っても聞いてくれない」と不満を漏らしていた。

膠着状態が続く中、県警が関心を寄せたものがある。その一つが指紋だった。

盗まれた8572万円は全て1万円札で、県警は押収場所ごとに小分けにし、封筒に入れるなどした上でポリ袋に詰め、段ボール箱に入れた状態で金庫内に保管していた。

盗難発覚後、多くはポリ袋ごと持ち去られていたが、段ボール箱の中に残っていた現金入りの一部の封筒に脇本警部補の指紋が付着していた。

「証拠品の整理に携わっていなければ、犯人性を裏付ける証拠になり得る」とある関係者。

だが、詐欺事件の捜査に携わっていた脇本警部補が証拠品を整理する際に付いた可能性が最後まで消せず、証拠にはならなかったという。

多額の借金という動機面の状況証拠がある一方で、直接証拠はなく、本人も否認を続ける。県警内でも「シロではないのか」との見方が一部で聞かれた。

捜査線上には、脇本警部補を含めて複数の容疑者がいる状態が続いていた。「容疑者を1人に絞ると、違っていたときに何も残らない。対象は幅広く取り、一人一人の可能性をつぶしていくしかない」。県警のある幹部は当時、こう強調していた。(中国)

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