公営ギャンブルがV字回復 パチンコ業界は苦境

かつて売り上げ不振で廃止が相次いだ公営ギャンブルの業績がV字回復しているという。中国地方のボートレースと競輪、オートレースの8場すべてが2018年度決算で黒字を確保。リーマン・ショック後の10年度は約8割の6場が赤字だったが、インターネットで手軽に投票できる環境が追い風になっているという。


地方財政に貢献する公営ギャンブル
全8場の18年度の純利益は合計で100億2900万円、前年度より9.1%増え4年連続のプラス。利益の一部は各市の一般会計に繰り入れられた。地方財政への貢献が目立つのはボートレース。児島(倉敷市)は繰り入れが11億円で前年度の5.5倍。徳山(周南市)は7億円で2.6倍。下関(下関市)は17億5千万円で2.3倍となった。

前年度より17.4%減った宮島(廿日市市)も17年度に廿日市、大竹両市への配分金を18年ぶりに復活させて以降、3年連続で繰り入れる。

場外舟券売り場を置く自治体も恩恵が広がる。16年に誘致した山口県田布施市には周南市から協力金が入り、昨年度は4149万円で過去最高。同町の亀田典志総務課長は「子どもの医療費無償化などに充てている。財源が厳しい中、大変ありがたい」と喜ぶ。

競輪では広島(広島市南区)が10年ぶりとなる繰入金を復活させ、3億円を市の一般会計に入れた。玉野(玉野市)は前年度の2倍となる4億円を充当。

一方、防府(防府市)は古い施設の改修に備え、オートレース山陽(山陽小野田市)も累積赤字の解消を優先し、ともに繰り入れを見送った。

好調な公営ギャンブルの中でもボートレースの快走が目立つ。全国24場の18年度の売上高は約1兆3700億円。この10年で最も落ち込んだ12年度の1.5倍に膨らんでいる。その額は中央競馬の約半分に迫り、競輪と地方競馬、オートレースの合計額に匹敵する。

公営ギャンブルは戦後復興を支援
本来は刑法が禁じる賭博のはずの公営ギャンブルは戦後の復興を支援する目的で生まれた経緯がある。1953年開場のボートレース徳山はピークの74年度には旧徳山市へ33億円を繰り入れた。当時の市の一般会計歳入の2割を占め、これまでに文化会館や動物園などの整備に使われてきた。

しかし、バブル崩壊で売上高は減少。97年度に初めて赤字に陥り、99年度に繰入金が初めてゼロに。97年度以降の14年間で赤字は9回に上った。

公営ギャンブルが自治体財政のお荷物に転落したことで各地で廃止論議が巻き起こり、地方競馬全国協会によると、01年以降に全国で14競馬場が廃止された。中国地方でも02年に益田(益田市)、13年には福山(福山市)が姿を消した。

インターネット投票でV字復活
そうした苦境を救ったのがインターネット投票だ。芸能人を起用した派手なテレビCMなどで浸透を図る。ボートレース徳山はインターネットの舟券販売が前年度の2割増と急拡大。

11年に始めたモーニングレースも好評で18年度の売上高は過去最高を記録した。山本貴隆管理者は「安定した繰り入れを続けるのが使命。ばくち場の悪いイメージを変えたい」として家族連れ向けイベントなどを開き、新たなファンの獲得を目指す。


パチンコ業界は苦戦 規制強化で20年で4割閉店
好調な公営ギャンブルとは対照的に苦境にあえぐのがパチンコ業界。最盛期には売上高が30兆円を超える一大産業だったが、ギャンブル依存症が社会問題となり、射幸性を抑えるため出玉を少なくするなどの規制でファン離れが加速。

中国地方ではこの20年間で約4割のパチンコ店が閉店に追い込まれている。日本生産性本部のレジャー白書によると、2018年のパチンコ・パチスロの市場規模は20兆7千億円。ピークだった05年の34兆8620億円のから4割も減少した。遊戯人口は950万人と推計し、3千万人を超えた1980年代から3分の1にしぼんでいる。

中国地方の店舗数は18年末時点で679店。1998年末より414店減った。かつて「モーニングサービス」などとして各店が競ったイベントや「出血大サービス」などの射幸心をあおる宣伝は規制され、大量出玉をうたうパチンコ、パチスロ機も次々と姿を消す。

パチンコ店をほぼ毎日訪れる周南市の70代女性は「生活の一部。今は何万円も入れず、ゆっくりと遊ぶのを心掛けている」と笑う。一方、同市の場外舟券売り場で60代男性は「パチンコは大金をつぎ込んで当たっても元が取れない。ボートの方がいい。もう行かない」と顔をしかめる。

山口県内のパチンコ店経営者は「国策でカジノを始めるためか、パチンコだけが締め付けられているみたい。競馬やボートみたいに監督官庁がバックにいるのとは違うよ。依存症対策の規制で年内に人気機種が次々撤去になるし来年はもっとつぶれるよ」とこぼす。(中国)

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