「旧陸軍被服支廠」保存をめぐり広島県と広島市がバトル中

広島県が所有する被爆建物の「旧陸軍被服支廠」の大部分を解体する方針案を公表する直前の11月、県と広島市などとの間で行われた大詰めの協議の内容が情報公開請求で明らかになったという。この中では、市があくまで全棟保存を主張したのに対し、県が主張を続けるなら市で所有するよう迫るなど厳しいやりとりが交わされていたという。

広島県が被爆建物の「旧陸軍被服支廠」について、所有する3棟のうち1棟のみを保存し、2棟を解体する方針案を公表したのを受けて、県と広島市、それに国との間で行われてきた3年に及ぶ協議の議事録を情報公開請求で入手した。

このうち方針案が公表される直前の11月に行われた大詰めの協議では、県の担当者が18年、大阪北部地震の際に起きたブロック塀の倒壊事故に触れ、「老朽化が進む『被服支廠』もこのまま放置はできず、検討が加速した」として解体案を提示している。

これに対して広島市の担当者は「失われてしまうと二度と取り戻せない。建物そのものが持つ被爆の実相の訴求力が失われることを危惧している」と述べ、あくまで全棟保存を主張した。

このあと県が「市として『被服支廠』をこういうふうに使いたいと言っていただけるなら考慮の余地は大いにあるが、そういうものはあるのか」とただした。

これに対して、市は現段階で提案はないとする一方、「どういう形になっても対応できるよう、将来につなぐということをしていただきたい」などと重ねて全棟保存を主張した。

これを受けて、県は「そこまで言われるのであれば広島市で『被服支廠』を持っていただくわけにはいきませんかと言わざるを得なくなる」などと迫ったのに対し、市は「第一義的には被爆建物は所有者に保存していただくべきものだ」などと厳しいやりとりが交わされている。

一方、市の担当者が全棟保存の予算の確保に向けて市が窓口になって国に要望していく用意があると伝えたのに対し、県側は「安全対策を早急に実施する必要があり、時間的なことも考えるとなかなか難しいと思うが、そういった努力はお願いをしたい」などと述べ、解体を急ぎたい意向をにじませている。(NHK広島)

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