2016年北広島町のスキー教室死亡事故で和解 衝撃はバイクが衝突したような音

広島県北広島町のスキー場で2016年、芸北小6年生の女児(当時12歳)が授業中のスキー教室中にスノーボード客の男性と衝突して死亡した事故を巡る2つの損害賠償訴訟の和解が成立する見通しだという。町によると、和解案では町の過失割合が女児と男性に比べて大きいとしている。

町教委によると、広島地裁の和解案では、女児と男性の過失割合は同じ。町が、女児の両親と、重傷を負った男性にそれぞれ支払う額が確定する。町側の過失について、事故が起きたフリー滑走時、指導者が児童たちにコースの選択を委ねて先行して滑ることを許したと指摘。指導者が、他の利用者と衝突しないよう安全な速度や方法で滑走させる注意義務を怠ったなどとした。

”女児”については、下方の滑走者に注意し、接触や衝突回避できるよう速度や進路選択をするべきだったとした。

コース上に停止しようとしていた”男性”には、上方に注意し、滑走者との接触や衝突回避できるような速度、進路や停止位置を選択するべきだったなどとし、それぞれ注意義務を怠ったとしているという。

事故を巡っては女児の両親が町と男性に、男性は女児の両親と町に損害賠償を求めてそれぞれ提訴。19年11月に3者が和解案を内諾したという。12月24日の次回次回協議で成立する見通し。(中国)


賠償訴訟和解
広島県北広島町のスキー場で2016年、芸北小6年生の女児=当時(12)=が授業のスキー教室中にスノーボード客の男性と衝突して死亡した事故を巡る損害賠償訴訟は12月24日、広島地裁で和解した。町の代理人弁護士や町教委によると、過失割合は町4割、女児と男性はそれぞれ3割。町が女児の両親と重傷を負った男性への賠償金を支払い、女児の両親と男性も互いに支払う内容。金額は非公表としている。(中国)



【事故現場】
芸北国際スキー場(広島県北広島町)

【事故が発生したエリア】
国際エリア:初心者、中級者、ファミリー向け

他には、カケズエリア(中級者、上級者向け)、おーひらエリア(中級者、上級者向け)がある。

【事故の経緯】(事故検証報告書から抜粋)
・平成28年2月2日、当該児童(死亡した児童)は、国際エリア・ジャイアントコースを児童14人中8番目に滑走。

・当該児童と7番目に滑走した児童は、ゆっくり滑走していた5番目と6番目の児童2人を、ジャイアントコースで追い越した。

・当該児童はセンターコース中腹下付近にさしかかった午前11時45分頃、左側から来たスノーボーダーと衝突し、倒れた。

・後方からは、9番目に滑走を開始した児童が来ており、事故を目撃した。

・事故現場に近づいていたスノーボーダーの同行者が、後から滑ってきた児童3人に対し、すぐ救急車を呼ぶよう依頼した。

・最後に滑走を始めた外部指導者は、事故現場付近に差し掛かったが、事故には気付かず、通り過ぎた。しかしゲレンデ下方向から上がってきていた児童に「ぶつかった!」「動かない」等の叫び声を聞き、事故現場から約 34 m降りた場所で止まり、事故現場へスキーを履いたままスケティングで斜面を登 って行った。

・教員Aは、外部指導者Aよりも斜面の上で同児童たちの叫び声や呼び声を聞き、コース左側に寄ったところで止まった。児童が教員Aの傍に滑って近づき、事故の発生を知らせたため、教員Aも現場へ近づこうとしたが、外部指導者Aが近付こうとする教員A及び児童に「来るな!」と叫んで制止し、児童を連れて下に降りるように指示した。

・パトロール隊員A 氏及びB氏が事故に気付き、隊員B氏はすぐにパトロール棟付近に止めてあったスノーモービルで現場に向かい、途中で外部指導者Aを追い抜いて現場に到着した。また、隊員A氏はトレーラーを準備している間に、児童から衝突事故の知らせを受け、急いでトレーラーに載せたスノーボートをスノーモービルで引き、現場に向かった。その時には既に当該児童は意識がなく、呼吸をわずかにしている状態であった。

・隊員B氏は、当該児童及びスノーボーダーの状況を把握するとともに同スキー場事務室に消防への通報及び救急車両、ドクターヘリの要請を11時48分に行った。連絡を受けた消防はドクターヘリの要請をを受けた消防はドクターヘリの要請を11時50分に行った。その間に、呼吸が止まり心拍数も止まった状況となった。

・12時56分、ドクターヘリが県立広島病院へ当該児童を搬送するため、離陸した。児童は、搬送先の県立病院において、13時43分に死亡が確認された。相手のスノーボーダーは、広島大学病院に搬送され,頸髄損傷により緊急入院された。

【衝突の状況はバイクが衝突したような衝撃】
当該児童の事故当時の滑走スピードは相当に速かったと考えられる。当該児童のスピードは、一般スノーボーダー客の目撃者が衝撃音について、「『どかーん』と音がしてバイクがこけるような音」、また同行者は「電柱にオートバイが衝突したときのような衝撃」と表現している。当該児童の速度をオートバイ並みの速度として秒速17m、相手方の速度は「ゆっくりではない」スピードであったと同行者が陳述している(平成28年10月13日付け報告書)。相手方が自転車並みの秒速8mとすると、当該児童のスピードは61.2km/h、相手方は28.8km/hになる。


北広島町・芸北国際スキー場事故検証委員会報告書


【衝突前1.0秒前】
相手方は衝突地点より8mの距離にいたと推定される。同行者A氏と当該児童は右斜め上方向にあり、同行者A氏との距離は12m~15mであった。当該児童は同行者A氏の東側側方(国際トリプルリフト側)2mの地点を通過していると推定される。左前方に同行者A氏と相手方が重なるような方向で前方を視認できる位置であると推定される。同行者A氏が当該児童を発見したのは衝突地点から約10mのところであると述べているが、この時点辺りとなる。

【衝突0.5秒前】
相手方は衝突地点から4mの地点を通過していると推定される。同行者A氏のほぼ真下方向で、その距離は12m~15mである。当該児童は同行者A氏の側方を通過し衝突地点まで8.5mの地点になると推定される。同行者A氏がこの当該児童が相手方に気付き身体が固まり、膝がガクッとなったようだと証言しているのがこの直後のことと考えられる。

【衝突時】
相手方は上方から来た当該児童に全く気づかない様子で、当該児童がそれまで下げていた腕を上げる形で胸が相手方のからだに衝突する形で激突したと、同行者Aは述べている。

【衝突後】
相手方はその場に倒れた。当該児童はヘルメットが飛び、背中を雪面にバウンドさせるような形で約4m下方に勢いがついた形で仰向けの状態(2/18聴取「うつぶせ」)で頭がゲレンデ下方、足が山側の方向で止まった。ヘルメットは衝突時に外れて飛び、スキー、ストックも外れた。

【事故の原因】
・当該児童が前方の注視を怠り、衝突地点から7m、8m手前の地点で初めて相手方に気付きそのまま衝突した。

・相手方が上方から来る当該児童の確認を十分に行わず、衝突するまで当該児童の存在に気がつかなかった。

・当該児童は相手方が斜面を横切ってくることを視認していた。相手方は衝突地点をそのまま斜めにリフトNo4支柱方向へ滑降していくことを予測し、衝突は回避できると思い直滑降で滑走していた。ところが、衝突地点から約4m、衝突約0.5秒前から0.4秒前に、相手方がターンを始めたため驚いて身体が固まり、進路を塞がれる形となりそのまま衝突した。

【滑走時の義務】
全国スキー安全対策協議会スノースポーツ安全基準、第2章スキーヤーの責務の第6項
1 滑り出し・流入・横断のときは、上方からのスキーヤーを優先させる。
2 滑走中は前方のスキーヤーの動向を注視し、前方のスキーヤーとの間に安全な距離を保つ。

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