自民党政調会in広島 岸田政調会長自ら憲法改正推進でポスト安倍へ

11月18日、憲法改正をテーマにした自民党の地方政調会が広島市中区で行われた。岸田文雄政調会長(広島1区)は、憲法9条への自衛隊明記を含む党改憲案について「9条の条文と精神は共に維持する。戦争放棄、専守防衛、平和主義は何ら変えることなく現実の矛盾を解消する」と理解を求めたという。

岸田氏は改憲の必要性について「憲法が公布された1946年から時代背景が変化する中、憲法のありようを考え続けていかなければならない」と主張。9条への自衛隊明記、大規模災害時などの緊急事態対応、参院選の合区解消、教育の充実、の党改憲案4項目を解説した。

その上で「『憲法改正』と言うと9条改正となり、平和主義が損なわれるという固定観念を持っている方が多いという現実にぶち当たる。自民党案はそうではない」と訴えた。

この日は党員ら約600人(党発表)が参加。質疑では「被爆地広島では、自衛隊明記について反対意見が多い」との声が出た。岸田氏は「広島では、さまざまな心配があることは私も感じている。自衛隊を明記することで何か実態的な影響が生じてはならない。その点は注意して議論を進めたい」と答えた。

地方政調会は、憲法改正の推進を目的に10月から改憲をテーマに加えて実施しており、今回で2回目。この日、党広島県連の宮沢洋一会長(参院広島)はあいさつで「被爆地広島での開催は大変大事なことだ」と述べた。


ポスト安倍正念場

「ポスト安倍」に意欲を示す岸田氏には、安倍晋三首相(党総裁、山口4区)の悲願である憲法改正を推し進める姿勢を通じ、自身の存在感を高める狙いもあるという。しかし、9条改正で野党の協力を得るハードルは高い。党広島県連の関係者や支援者からは「首相の座を射止めるための正念場だ」との声が上がる。

「憲法改正をポスト安倍と結び付けて考えるのはいかがか。憲法はしっかりと議論しなければいけない。ポスト安倍に向けては準備し、努力していく。それぞれをしっかりとやる」と岸田氏は語った。

ただ、改憲議論とポスト安倍の行方を関連付ける見方は党内に広がる。地方政調会は岸田氏が昨年始めた取り組みだ。「改憲批判が根強い」(党県連幹部)とされる地元の被爆地広島で2回目の場を設けたことに、岸田氏の思いを感じ取る党県連幹部は少なくない。

「改憲議論をリードすることが岸田氏を首相に押し上げる必須条件。改憲の顔として全国を行脚し、PRできる地方政調会は願ってもない好機だ」と、ある県議は言い切る。

広島だけでなく、世論の賛否が分かれる9条への自衛隊明記。岸田氏はこの日、「平和主義は何ら変えない」と何度も繰り返した。会場とのやりとりを見守った党県連の宇田伸幹事長は「広島の声をきちんとくんでくれた。野党との交渉、調整も乗り切れるのではないか」と期待する。

ポスト安倍を見据えるように、広島1区の地盤をさらに固める岸田氏の講演会の動きも目立つ。今夏から小学校区単位で細かく講演会組織をつくり初め、16日には広島市南区比治山学区で約70人を集めた。


【野党】岸田氏に疑問や批判

憲法改正の必要性を語った地元の岸田文雄政調会長(広島1区)に対し、野党の広島県組織の幹部は疑問や批判を投げ掛けた。自民党と連立を組む公明党の県組織幹部も、慎重で丁寧な議論を求めた。

「岸田氏は(伝統的にリベラルな自民党派閥の)宏池会の会長。本来の姿に返るべきだ」。立憲民主党県連の渡壁正徳代表は、改憲に理解を求めた岸田氏に疑問を呈した。とりわけ憲法9条を改正する必要はないと強調し「他にも重要な政策課題がある」と訴えた。

国民民主党県連の福知基弘幹事長は「議論すること自体は否定しないが、憲法改正の議論を進まなくしている責任は自民党にある」と主張した。「安倍政権は憲法解釈を変えるなど姿勢に問題がある。現行憲法で現実的な問題は生じていない」

共産党県委員会の村上昭二委員長は「憲法を現実の政治にどう生かすかが今、問われている。憲法を変えてほしいという国民の声はほとんどない」と説いた。

社民党県連合の福山権二幹事長は「広島1区選出で自民党幹部の岸田氏が9条改正に理解を求めるのは、被爆者たちの思いとかけ離れている」と批判した。

公明党県本部の田川寿一代表は、岸田氏に慎重で丁寧な議論を促した。「『9条を守ってほしい』という声は広島では強い。宏池会の会長としてその先頭に立ち、国民の声を幅広く聞きながら、偏った議論にならないようにしてほしい」と注文を付けた。

日本維新の会の県支部に当たる広島維新の会の空本誠喜幹事長は「国の問題を解決するため、憲法改正の議論は着実に前進させなければならない」と訴えた。(中国)

関連記事

スポンサーリンク

スポンサーリンク



コメント 0件

コメントはまだありません

コメントをどうぞ