必要最低賃金は月給25万円(1日8時間×24日労働)→時給1302円

都道府県で差がある最低賃金の全国一律化を求める動きが、中国地方でも広がっている。政府が「全国平均千円」を目標に引き上げを主導する一方で、都市と地方の格差は広がる。7月内にも中央最低賃金審議会が引き上げ幅の目安を示す。労働界を中心に、生活の苦しさや労働力の流出への懸念を背景として、地方の実態を踏まえた指示を求めている。

「地方のワーキングプアをなくすには、平均千円ではなく全国一律の千円以上だ」。6月下旬、広島市中区の街頭に立った広島県労連の組合員がマイクを手に訴えた。2018年度の広島県の最低賃金は844円で、中四国、九州の最高額。しかし、全国平均の874円には届かない。

中国5県の全労連系5組織は6月上旬、各県に対して国に全国一律化を求めるよう要請した。連合広島も本年度の運動方針に「誰でも時給千円」を掲げる。今年2月には、自民党内に全国一律化を求める議員連盟が発足し、全労連や全国町村会と意見を交わした。

背景には大都市との格差がある。中国地方で最低額の鳥取と東京との差は、2009年度の161円から18年度には223円に広がった。広島と東京との差も同期間に99円から141円に拡大した。

中央最低賃金審議会は、最低賃金の目安を経済規模に応じて都道府県を4ランクに分け、低ランクの地域ほど、引き上げ幅も小さくなる傾向がみられる。

人間らしい生活には時給1612円が必要。山口県労連5月下旬、10~30代の組合員167人へのアンケートを基にした試算を示した。

1Kの賃貸住宅に住む山口市の25歳独身男性が朝夕の食事を自炊する想定だ。監修した静岡県立大短大部の中沢秀一准教授(社会保障論)は「地方は生活費が安いという前提の現行の最低賃金制度は、車の維持費を軽視するなど生活実態と懸け離れている」と強調。最低賃金格差を放置すれば、働き手の不足が一層進むと危機感を持つ。

鳥取を除く中国4県の弁護士会は昨年度、貧困対策の一環として、最低賃金引き上げを求める会長声明を発表した。岡山弁護士会は、隣県との最低賃金の差を月額で広島6512円、兵庫1万1088円と試算。労働力流出に懸念を示した。

一方、地方の企業経営者を中心に、最低賃金の大幅アップによる人件費増への懸念は根強い。広島県労連の門田勇人事務局長は「最低賃金を引き上げても、サービス残業や管理職の長時間労働で人件費総額を増やさない企業もある。中小企業への社会保険料減免といった実効性のある施策が必要だ」と訴える。(中国)

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