広島被災者「戻りたくない」増加

75人が亡くなった広島市の土砂災害から8月20日で1年。NHKが被災した人を対象に行ったアンケート調査で、もともと住んでいた場所に戻りたいか聞いたところ「戻りたい」が半年前の調査に比べておよそ10ポイント減ったのに対し、「戻りたくない」は逆におよそ10ポイント増加し、ほぼ同数となった。

調査方法は、7月から8月にかけて被災した100人を対象に災害後の生活状況などについてアンケート調査を行った。このなかで現在の住まいを聞いたところ、「もとの自宅」が31%、「もとの自宅を修繕した」が14%、「公営住宅・無償の民間住宅」が23%、「賃貸住宅」が19%などとなった。

そのうえで、すでに自宅に戻った人も含めて、もともと住んでいた場所に戻りたいか聞いたところ、無回答を除くと27%が「戻りたい」と答え、半年前の調査より11ポイント減ったのに対し、「戻りたくない」は26%で9ポイント増加した。

「戻りたくない」理由としては「再び土砂災害が起きないか恐怖心がある」とか「砂防ダムができていない」などと安全面での不安を訴える声が多く上がっている。

さらに、災害後の生活再建がどのくらい進んだかをパーセンテージで聞いたところ、平均53%で、半年前の調査からは3ポイントの増加にとどまり、災害から1年となる今でも生活再建の実感が得られない被災者が多くいることを示す結果となった。(NHK広島)



広島市安佐南区被災地区 2

大雨による避難情報乱発状態を改善か?

広島市の松井市長は記者会見で、去年8月の土砂災害の被災地で、暫定的に運用している避難情報について、「情報の確度を精緻にできないか工夫する余地がある」と述べ、発令の基準や範囲について、今年秋以降に見直す考えを示した。広島市は、去年8月の土砂災害で大きな被害を受けた安佐南区と安佐北区について暫定的に、気象台が広島市に大雨注意報を出せば避難準備情報を、大雨警報を出せば避難勧告を自動的に発令している。

これについて松井市長は、18日の記者会見で、「4月から避難準備情報は19回、避難勧告は2回出している。素早い情報提供は大事だが情報の確度を精緻にできないか工夫する余地がある」と述べた。そのうえで、松井市長は、「今年の秋口に暫定的な運用を決めた検証部会にはかって具体策を検討したい。砂防ダムが完成すれば暫定的な措置を解消するところもあると思うのでそうしたことも見据えて議論したい」と述べ、発令の基準や範囲について、今年秋以降に見直す考えを示した。

広島市では5キロ四方ごとに土砂災害のおそれを表示する「メッシュ情報」を活用することや、避難を呼びかける範囲をさらに土砂災害の危険性が高い地域に限定することなどについて具体的な検討を進めていくという。(NHK広島)

福山市加茂町の国道182号線が土砂崩れで通行止め

今月17日に台風11号の影響で土砂崩れが起きた福山市の国道沿いの斜面が、およそ40メートルに範囲を拡大して再び崩れ、7月23日未明から周辺の区間が通行止めになっている。

土砂崩れが起きたのは、福山市加茂町百谷の国道182号線沿いの斜面。ここでは、7月17日に台風11号の影響で土砂崩れが起き、周辺の区間が一時通行止めになったが、22日夜、付近を通りがかった人から「再び土砂崩れが起きている」と警察に通報があり、警察と県東部建設事務所が確認したところ、幅40メートル高さ40メートルにわたって土砂崩れが起きていた。このため、県東部建設事務所では23日午前1時から再び現場周辺の区間を通行止めにしている。警察によると、これまでのところ、車が巻き込まれるなどの被害は確認されていないという。復旧のめどはたっておらず、県では県道などのう回路を利用するよう呼び掛けるとともに、復旧作業を急ぐことにしている。(NHK広島)


福山市土砂崩れ2

広島土砂災害現場で80歳の地質学者が転落死

5月17日午前、広島市安佐南区の山の中で、地質学者の80歳の男性が倒れて死亡しているのが見つかった。現場は、去年8月の土砂災害で地面がえぐられ崖になっていて、警察は地質学者の男性が災害現場を訪れ、誤って崖下に転落したのではないかとみて詳しい状況を調べている。

17日午前8時すぎ、広島市安佐南区八木の「阿武山」で、男性が頭から血を流して倒れているのを近くを通りがかった近所の住民が見つけ、119番通報した。男性はすでに死亡していて、警察が調べたところ、亡くなったのは千葉市花見川区に住む地質学者の籾倉克幹さん(80)と確認された。

日本地質学会のホームページによると、籾倉さんは昭和32年に広島大学理学部を卒業後、旧農林省の地質技術者として採用され、各地で地質調査にあたり、平成23年には日本地質学会の名誉会員となっている。

現場は、去年8月の土砂災害で発生した土石流によって地面がえぐられ、崖になっていて、籾倉さんが倒れているのが見つかった場所から、15メートルほど上に、籾倉さんの荷物が残されていたという。(NHK広島)


広島土砂災害跡地001

広島土砂災害現地002

阿武山の貴船神社ほこらが土砂災害発生前に崩れていた

昨年8月の土砂災害で被災した広島市安佐南区八木3丁目の住民有志たちが5月3日、阿武山山頂にある「貴船神社」の「ほこら」を修復した。同7月に天井部分の岩が地面に落下しているのを把握し、元に戻す準備を進めていたが、災害発生で手つかずだったという。

雨模様の中、地元自治会やボランティアグループのメンバーたち24人が、約2時間かけて神社に到着。ロープや木材を使って約30分後、地面から岩を元の位置へ戻した。作業後、手を合わせ「災害が二度と起きないよう見守ってほしい」と願った。「ほこら」は、岩を組み合わせた形状で、高さ約80センチ、幅約1メートル、奥行き約80センチ。

神社は水の神を祭り、安佐南区八木3丁目の光廣神社の飛び地境内にあり、江戸時代までに建立されたと伝わる。なぜ、岩が落下したかは不明だという。(中国)


貴船神社ほこら修復

墓石800基が被害

広島市の土砂災害で、安佐南区緑井町の墓苑に土石流がなだれ込み、墓石約800基が土砂に埋まったり、流されるなど無残な状態となっている。惨状を知って駆けつけた家族らは、お彼岸を前に呆然としながらも、行方の分からない骨つぼや墓石を懸命に見つけ出そうとしているという。被害を受けたのは、JR可部線七軒茶屋駅北側山麓の宇那木神社近くにある緑井墓苑。法林寺(広島市南区)が管理している。

同寺の説明では、林道から土石流が流れ込み、現在、被災前の状態のまま残っている墓石は30基程度。大半は土砂に埋まったり、倒れたりしている。中には下の神社や民家近くまで流された墓石もあり、復旧のめどはたっていないという。

同寺では、災害発生翌日の8月21日に墓苑が被災したことを確認。墓を持つ家族らに知らせるとともに、墓苑の入り口付近に仮の参拝所を設けるなどして対応。墓苑を訪れた家族らは、僧侶から説明を受け、スコップで土砂を掘るなどして骨つぼや墓石を探している。法林寺の僧侶、前原善香さん(68)は「墓苑には重機が入らない状態。できたらボランティアの人たちに協力していただきたい」と話している。(産経)

墓石

携帯電話の「緊急速報メール」使用せず

広島市は、 避難勧告などの災害情報を携帯電話会社を通じて一斉配信する「緊急速報メール」というシステムを持っているが、これを今回の土砂災害で使っていなかったという。「緊急速報メール」は、国や自治体が発する災害情報をNTTドコモなど携帯会社がそれぞれの契約者に対して無料で送るもの。広島市の地域防災計画によれば、避難勧告などを伝えるため、実情に即した方法で伝達するとしていて、「緊急速報メール」も手段の一つに挙げている。

広島市では、一昨年までに携帯大手3社と契約を結び、システムを確立していたが、今回の土砂災害では、このシステムを一切使っていなかったという。市は、独自で行っている「防災情報メール」には避難勧告などの情報を配信したが、このメールの登録者は全市民の5%以下にとどまっている。

伝達力がより高いとみられる「緊急速報メール」を使わなかったことについて、広島市は「理由はわからない。初動態勢の検証の中で明らかにしたい」としている。(RCC)

避難勧告誤送信

「防災サイレン」鳴らされず

72人が死亡した広島市の土砂災害で、広島市が住民に危険を知らせる手段として設置していた防災用サイレンのうち今回、安佐南区と安佐北区で避難指示や避難勧告が出された地区に設置されていた6ヶ所のサイレンがすべて鳴らされず、結果として住民に土砂災害の危険が伝えられていなかったという。サイレンは平成11年、広島市などで31人が死亡した豪雨災害を教訓に、広島市が「防災行政無線」の屋外の放送が聞こえない地区の住民に危険を知らせる手段として6000万円以上をかけて市内27ヶ所に設置した。

このうち、今回の土砂災害で被害が大きかった安佐南区と安佐北区で、避難指示や避難勧告が出された地区には警察の発表で49人が死亡した安佐南区八木地区をはじめ、6ヶ所にサイレンが設置されていたが、サイレンはすべての箇所で鳴らされず、結果として住民に土砂災害の危険が伝えられていなかった。

広島市消防局は避難指示や避難勧告が出された際、地区の消防団や自治会の判断でサイレンを鳴らすと説明しているが、消防局が消防団などに配布したマニュアルには誰が鳴らす判断をするか明記されておらず、複数の消防団の分団長などは「消防局が判断して鳴らすよう指示が来ると思っていた。分団長が交代した時も引き継ぎに伴う新たな説明などはなかった」と話している。

広島市消防局は「今回の災害でサイレンが鳴らされなかったことは事実として受け止めている。どのような防災情報をどのように伝えたら住民の避難行動に結びついていくかという方向で今後、検証していきたい」とコメントした。(NHK広島)

また今回の災害をめぐっては、避難勧告などを伝える防災行政無線の屋外スピーカーが、八木地区に設置されていなかったことが判明している。(RCC)


防災サイレン

広島市「1時間70ミリ」情報ファックス放置か

広島市で大雨による土砂災害が発生した20日未明、広島地方気象台の発表した「多い所で1時間70ミリ」という同日の雨量予測のファクスを、同市が見落としていたことが31日、分かったという。避難勧告を出す判断材料となった可能性があり、市が経緯を調べている。市の担当者は「資料は残っているが、情報を見た記録はない。結果として情報が生かされなかったのは事実だ」と話している。

気象台は20日午前1時15分、避難勧告を出す指標の一つとなる「土砂災害警戒情報」を広島市と広島県廿日市市に発表。1時49分には「大雨と落雷に関する広島県気象情報」として、県全域を対象に、非常に激しい雨を示す「1時間70ミリ」の予測を発表し、土砂災害への警戒を改めて促した。市はこの雨量予測を民間業者からファクス受信していたが、大量のファクスに紛れ見落としたという。情報はこの時点で「広島県防災Web」にも掲載されていた。(時事)

「ルナハイツ」入居者8人全員死亡の怪

フジテレビ「とくダネ」に続いて「新報道2001」でも紹介された広島市安佐南区八木地区の旧名称「蛇落地悪谷」。先人の教訓に学ぶのもいいが、もはや風評被害レベルか。広島市で起きた大規模な土砂災害は30日で10日が経過したが、これまでに72人が死亡、2人が行方不明になっている。

気になるのが、建物ごと土石流に押し流された安佐南区八木3丁目のアパート「ルナハイツ」。2014年4月に建てられたばかりの新築アパートに、4世帯8人が暮らしていた。部屋割りは、101号、102号、201号、202号とあり、2LDKに2人ずつ入居していた。災害直後、1人、2人くらいは生き残っていると思ったが、4世帯8人は全員死亡が確認された。恐らく、逃げる余裕などまったく無かったと思われるが、建物の構造は鉄骨造となっているが問題はなかったのだろうか。

このアパートが、なぜかあの斜面にポツンと建てられ、入居者が集まり、運命の日を迎えることになった。新しい土地に暮らすとき、近隣住民などから、過去の災害情報などの知恵を知り得ることはできるものなのだろうか。

実務的には部屋を借りるときに、不動産会社から契約書に「土砂災害危険区域」などと記載される程度で、説明も簡単なものだ。特にアパートを借りるときには、急がないと部屋が無くなってしまうことがあるから、契約前に過去の地暦など調べる余裕もない。地元に長く住んでいる人でも、ここ何十年も災害が起きていなかったから、まさかここで土砂災害に遭うなど思わなかったという声が多い。しかし、一部の近隣住民は知っていた。

緑井上組町内会長の石橋さんの話では、大雨が降ったときに上流部の石垣から水が1メートルくらい飛ぶという住民からの通報があったため、砂防ダムの設置のために取り組んでいた。

八木の平野さん(77)の話では、今は八木3丁目であるが、昔の地名では「蛇落地悪谷」といい、字が悪かったから「八木上楽地芦谷」とし、今の「八木」にしてしまった。

130年の歴史をもつ浄楽寺の住職の話では、竜がおってその竜の首をはねてその首が飛んで落ちた所が「蛇落地」。竜というのが水の神様だから、そういう災害を収めたという。昔の地主さんは「山より川の方が怖い」といって川を非常に警戒していた。だから川を避けて開発した。

山本地区に住む村越さん(90)の話では、山本地区の住民は、1926年にも豪雨による山からの土石流で死者24人を出すなど、昭和初期までは土砂災害の頻発地帯だった。河川の改修工事などが進み、もう被害に遭うことはないと思っていた。

これらの話は、もはや言い伝えの域に属するものもあり、日常生活においては気にしていられないというのが本音だろう。一部の地域住民は認識していても、なかなか全員には伝わらない。当然、賃貸アパートには、自治会も関与しにくい面があるから入居者にも伝わるはずもない。


昔、台風による豪雨被害で川が氾濫して、川のすぐ横の道路が約30メートルに渡り崩れたことがある。修復工事はされたのだが、その数年後にまた川の氾濫で、同じように崩れた。気になるのが、その近くで住宅地が造成され始めたことだ。その崩れた現場からは数十メートル離れているが、河川からの距離は10メートルもない。護岸工事も完了しているから直接の影響はないと思うが、大雨で川が氾濫して崩れたとき、宅地はどうなるのだろうか。

この新居に越してくる人たちに、昔、近くで起きた災害事故の事を伝える行為は、妥当な行為なのか。自治会などの働き掛けがあればいいが、集会は頻繁に行われないし、それまでに災害が起きるかもしれない。不動産業者は、そんな過去の災害の事は知らないから、入居者に伝えるはずもない。

過去の災害を、新しく越してくる見ず知らずの家族に伝えることは難しい行為だ。今回の災害と同じく、近くの住民は、過去に起きた災害の危険性を少なからず認識していたとしても、新しく移り住んでくる人たちに、迅速に注意喚起はできない。

災害があったことを積極的に周知させることは、一歩間違えると、住民を追い出してしまうことになる。第三者は、それでも命が大事だというが、良かれと思って伝えたことで、もし引っ越されたりしたら「あいつが余計なことを言ったからあの家族は出ていったんだ」などと言う奴いて、近所の悪い噂になるだけだ。自治会による上手な協力が欠かせない。

ルナハイツ

八木・ルナハイツ位置


【広島県内の土砂災害の歴史】(死者・行方不明者が出た事案のみ)
1926年9月11日 山津波(広島市) 97人 
1945年9月17日 枕崎台風(県内全域) 2012人
1951年10月14日 ルース台風(県内全域) 166人 
1967年7月8日 豪雨災害(呉市) 159人   
1972年7月11日 豪雨災害(三次市) 39人     
1988年7月20日 豪雨災害(安芸太田町) 14人   
1991年9月27日 台風19号 6人        
1999年6月29日 6.29災害(広島市・呉市) 32人     
2001年3月24日 芸予地震(呉市) 1人        
2004年9月7日 台風第18号(県西部) 5人   
2006年9月 河川被害(県北西部) 2人 
2010年7月11日 豪雨(庄原市) 5人  
2013年6月 豪雨(廿日市市) 1人   
2014年8月20日 土砂災害(広島市北部) 74人