広島県ロリコン教職員の懲戒処分発生率は全国平均の2倍

教え子の心に深い傷を残すわいせつ・セクハラ行為や体罰。勤務中の飲酒なども含めた懲戒処分の発生率は、都道府県平均の2倍を超える。学校の信頼を揺るがす事態といえよう。

広島県教育委員会は不祥事根絶のため外部委員による専門家会議を設け、昨年末に提言がまとまった。
主に3点を学校に求めている。規範意識を高めるための研修の改善と、教職員の変化に気付いて周囲が対応し、相談できる体制の拡充である。不祥事防止委員会の校内設置も盛りこんだ。

教師に高いモラルを求めるのは当然である。周囲が適切な対応をすれば防げたケースもあり、提言の指摘はうなずける。ただ、不祥事防止に絞った対策がどこまで効果を挙げるだろうか。「下ばかり向く研修になりはしないか」と危惧する校長もいるという。

子ども一人一人を大切にし、教職員間の意思疎通もうまくいっていれば不祥事は起きにくい。そんな原点に立ち返るにはどうすればいいかを、むしろ教育界全体で探るべきではなかろうか。
抜本的な対策を立てるには、不祥事が多発する背景に目を向ける必要があるだろう。そのためには、ここ10年余りで激変した広島の公教育の検証が欠かせない。

広島県教育委員会は1998年、学習指導要領や法令から外れた教育実態があるとして文部省(現文部科学省)から是正指導を受けた。それ以降、国とのつながりを深め、「是正から改革へ」をスローガンに改革路線をひた走ってきた。

学力面で成果を出し、保護者らの評価を高めた面はある。だが、教員たちからは気になる声も聞こえてくる。「忙しくて同僚とゆっくり話もできない」「上意下達でがんじがらめ」。人を育てる教職の世界から伸びやかさが失われているのではないか。

是正指導の大きな柱は校長権限の強化だった。職員会議はめっきり減り、あっても連絡の場になった。横並び傾向が強かった教員集団は、縦系列に組み替えられた。

教委による管理も強まった。現場は報告書類の作成に追われ、近年は保護者からのクレーム対応なども加わる。精神疾患などで休職する教員も増えた。多忙化と横のつながりの希薄化。その結果、同僚と心を通い合わすことが難しくなれば、不祥事の防止にも影響が出てこよう。

以前に比べ、研究授業などは格段に増えた。積極的な取り組みに見えるが、上から指示が下りて来ることが多い、との不満も耳にする。トップダウンそのものだった是正指導のやり方が、まだ教育現場に尾を引いているのだろうか。

改革には光と影がある。不祥事の多発を、一種のサインとして受け止めることもできよう。子どもを中心に据え、教職員が生き生きと動けるような学校をどう築いていくか。しばし足を止め、急ピッチで進めてきた改革路線の影に向き合う時だろう。

広島県教員懲戒処分

                                       2010年1月18日 中国新聞
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