犬猫の去勢手術と同じだったいい加減な優生保護法

「不良な子孫の出生防止」を目的とした旧優生保護法(1948年~1996年)を巡る問題で、知的障害者らが「男性への興味」や「結婚の話がある」などの理由に基づき、本人同意のないまま予防的な対応として不妊手術の対象とされていたことが3月15日分かった。優生思想を掲げた旧法の下、医師らの一方的な見解によって障害者らの人権が踏みにじられていた実態が浮き彫りになっている。

旧法は知的障害者や精神疾患などがある人に関して、本人の同意が無くても医師が必要と判断すれば、都道府県に設置された優生保護審査会の審査を経て不妊手術の実施を認めていた。広島県立文書館が個人名を伏せる形で公表した資料によると、62年、15歳の少女を知的障害と診断し、医師が「男性に興味を感ずる様であり、妊娠の可能性が強い」との理由で不妊手術を申請していた。健康診断書には「月経の始末も出来ない」と記載。県の審査会の決定書が「適」としていた。

また知的障害とされた13歳少女は、「第二次性徴は成人並みに発達。痴漢の性欲の対象となる可能性が大」との理由で手術が申請されていた。

福岡共同公文書館(福岡県)では、80年当時、知的障害があるとされた19歳少女の申請書に医師が「色情強く、いつ行動に移るか分からない」と記載。診断書には「貞操感がない」とも書かれていた。

一方、60年代に東京都立松沢病院に勤務していた精神科医の岡田靖雄さん(86)は、東京都優生保護審査会に提出された書類を保有。22歳の女性を対象とする50年の「優生手術申請書」は、「精神分裂病」とした上で「具体的に結婚話が進行しつつある。そのため優生手術を受ける必要がある」と医師が記していた。

手術が必要な理由として親族に精神疾患があることも挙げていたが、女性の病状を「軽快状態」「家庭生活に耐える能力があると思われる」とも記載。岡田さんは「法律自体も問題だが、運用もいいかげんだった」としている。

旧法下で不妊手術を施された障害者らは約2万5千人で、うち約1万6500人は強制とされる。(中国)
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