交通事故の損害賠償訴訟が急増 弁護士の資質にも問題

交通事故を巡る損害賠償訴訟が近年、急増しているという。訴訟の弁護士費用などを保険会社が負担する「弁護士保険」が普及したためだという。一方で加入者と担当弁護士が対応や報酬を巡ってトラブルになるケースも増加しているという。

呉市の30代の会社員男性は2015年11月、物損事故の相手方に59万円の損害賠償を求め、呉簡裁に提訴した。市内で車を運転中、隣のレーンを走っていた車と接触。示談交渉で互いに過失ゼロを譲らなかったため、弁護士保険で裁判を起こした。その結果、7割が相手方の過失と認定され、約35万円の賠償金を受け取った。


販売実績2434万件

弁護士保険は2000年、加入者が訴訟費用を気にせず弁護士を頼れるよう、日弁連と損保各社が協力して開発した。各社が個人向けの自動車保険などの特約として販売。日弁連は「リーガル・アクセス・センター(LAC)」を設け、各弁護士会を通じて弁護士を紹介している。15年度の販売実績は2434万件で、05年度の26倍になった。連動して全国の交通事故訴訟も急増した。広島県内の簡裁では16年度630件で、05年度の4.3倍となった。

広島弁護士会法律相談センター運営委員長の上椙裕章弁護士は「請求が少額だと、着手金だけで10万円はかかる弁護士費用の方が高くつく場合もある。それまで費用倒れをを恐れて泣き寝入りしていた人も多いはず」と弁護士保険の意義を強調する。

日弁連が保険を編み出した背景には、司法制度改革に伴う弁護士増への対応という狙いもあるという。

広島弁護士会に所属する弁護士は578人(平成17年1月現在)と、この5年で約100人増。一方、県内の16年の民事訴訟は7114件でピーク(09年)から半減した。消費者金融への過払い金返還訴訟が一段落した影響が大きい。


弁護士の資質にも問題

弁護士保険の販売増とともに、日弁連に利用者からの苦情も相次いでいるという。件数は把握していないが増加傾向にあるといい、広報担当者は「弁護士の着手や解決が遅いとか、態度が横柄といった不満が多い」と説明する。

大手損保会社の担当者は「報酬を増やすため、示談で済むのにわざわざ訴訟を起こす弁護士もいる。交通事故の法的知識や訴訟経験の乏しい若手弁護士が担当するケースも少なくない」と明かす。弁護士が高額の報酬を算出し損保会社に支払を求めてトラブルになった事例もあったという。(中国)

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