前田元検事のおかげで、取り調べ一部可視化がスタート ~ 米国の完全可視化取り調べ室

最高検は2月23日、東京、大阪、名古屋各地検の特捜部が容疑者を逮捕する事件を対象に、3月18日から取り調べ過程の一部の録音・録画(可視化)を試行すると発表した。郵便不正事件と証拠改ざん・隠蔽事件を受けた再発防止策の一環。裁判員裁判の対象事件では自白事件に限定して実施しているが、試行では否認事件にも範囲を拡大する。録音・録画データを公判に証拠として提出し、取り調べや調書の内容に問題がないことなど、供述の「任意性」や「信用性」を立証することも想定されている。

最高検が公表した試行指針などによると、録音・録画は検察官が作成した供述調書を公判で証拠請求することが予想される事件で実施する。対象となる場面や時期は担当検察官が判断するが、供述した経緯や調書の作成過程、調書の内容についての質問と応答、容疑者が調書に署名する場面や、その直後のやり取り等が想定されている。録音・録画は容疑者に告知して開始するが、容疑者が拒否した場合や、関係者のプライバシー保護が困難な場合などは行わない。国税庁や証券取引等監視委員会、公正取引委員会からの告発事件も対象に含まれる。検察庁は現在、裁判員裁判の対象事件で、容疑者が任意に供述したことを立証するため、容疑者が自白した事件に限って取り調べ過程の一部の録音・録画を行っている。(毎日新聞)


前田元検事による証拠改ざん・隠蔽事件で、検察による強引な取り調べ方法とストーリーに沿った供述調書を勝手に作成されるというでっち上げ体質であることを、多くの国民は知ることができた。取り調べの完全可視化については、米国のネバダ州で行われているものが紹介されている。以下2009年の西日本新聞から。

ネバダ州のワショー郡保安官事務所は、20年以上にわたって取り調べの録音・録画(可視化)に取り組んできた。現在は取り調べのすべてに加え、事務所の廊下や容疑者の房も録画。テープは必要に応じ証拠として法廷に提出される。ネバダ州には可視化を義務付ける法律はないが、州政府の捜査機関である多くの警察署や保安官事務所が、独自の判断で録音・録画を行っているという。

日本の検察、警察には取り調べを録画すると「容疑者が本当のことを話さない」「信頼関係を築けない」という意見が根強い。なぜネバダでは義務でもないのに録画しているのだろうか。同保安官事務所のトップで30年近い捜査経験があるマイケル・ヘイリー保安官は「録画しても容疑者が供述しなくなることはない。録画があればわれわれが適正に取り調べたことを法廷で立証できる」と可視化のメリットを強調する。そして、連邦捜査局(FBI)が可視化を行っていないことを挙げ「メンツにこだわる彼らのメンタリティーは時代遅れだ」と皮肉った。米国では1990年代、DNA鑑定の進歩などによって死刑や終身刑を言い渡された被告の無実が相次いで発覚。陪審員が下した判断が冤罪を生んでいた事実は米国社会に衝撃を与えた。

冤罪事件を調査してきたノースウエスタン大ロースクール(イリノイ州シカゴ)のスティーブ・ドリズィン教授は「陪審員の判断に問題があるのではなく、検察が出す証拠に問題があることが多かった。12時間以上にもおよぶ取り調べで無実の人に自白を強要していたり、目撃証言が間違っていたりしたケースが少なくない」と指摘する。こうした事態を受け、イリノイ州では2003年、当時のライアン知事が州内の100人以上の死刑囚を一括して終身刑などに減刑。殺人事件については取り調べの全過程をビデオ録画するよう義務付けるなどの改革に乗りだした。ワショー郡保安官事務所など一部の捜査機関で行われていた可視化は、今や全米に広がりつつあるという。

日本では被告が「自白を強要された」と裁判で主張しても証拠がなく、水掛け論になることが多かった。裁判長期化の一因にもなっていた。裁判員制度のもと、迅速で市民により分かりやすい裁判を実現するために、日本の検察、警察も取り調べの一部を録音・録画する試行を始めたが、全面可視化にはなお否定的な空気が強い。日本の司法制度にも詳しいドリズィン教授は懸念を隠さない。「日本では容疑者は23日間も拘束され連日、長時間の調べを受ける。もし市民が取り調べのすべてをビデオで確認できないなら、冤罪が生まれるリスクはあまりにも高い」

日本での取り組み 日本では鹿児島県志布志市の県議選をめぐる冤罪事件(2007年3月に12人の無罪確定)などを契機に取り調べの可視化を求める機運が高まった。裁判員制度導入を視野に検察、警察は可視化の試行に踏み切ったが、録音・録画するのは取調官が容疑者に自白調書を読み聞かせる部分など一部のみ。日本弁護士連合会は「捜査側に都合のいい部分だけ録音・録画するのは危険だ」として全過程の可視化を求めている。


取り調べ室

関連記事

Comment













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL