【新START】発効で米・ロシアは戦略核1550発へ削減、努力義務に終わるか

米国・ロシアの新たな戦略兵器削減条約(新START)が2月5日発効した。クリントン米国務長官とラブロフ露外相は、ミュンヘン安保会議に際し、新戦略兵器削減条約(新START)の批准書を交換し、米国・ロシアは7年以内に配備済み戦略核弾頭をそれぞれ1550発まで削減する義務を負う。新STARTは米国・ロシアの戦略核弾頭配備数を6000発に制限した第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約。START1は09年12月に失効していた。

新STARTは戦略爆撃機や大陸間弾道ミサイル(ICBM)など運搬手段も800に制限する。有効期限は10年。次の焦点はさらなる核削減に向けた交渉に移る。オバマ米大統領は、新STARTの規制対象外となった短距離の戦術核削減交渉開始を目指しているが、ロシアは「新STARTが履行されて初めて交渉を開始できる」(ラブロフ外相)と消極的で、交渉開始のハードルは高い。ロシアにとって戦術核は、欧州や中国など周辺地域の核に対する抑止力を担っており、本土周囲に「仮想敵国」がいない米国と事情は異なる。特に欧州方面で北大西洋条約機構(NATO)軍に通常戦力で劣るロシアにとって、戦術核は容易に手放せない存在。ロシアの軍事評論家、フェリゲンガウエル氏は「ロシアに今、戦術核削減に取り組む考えは全くない」と話す。

ロシアは交渉入りの条件として、まず米国が欧州に配備している戦術核約200発の撤去を要請しているが、NATO加盟国の東欧などが強く反対し、実現の見通しは立っていない。さらに戦術核の場合、英仏や中国、インド、パキスタンなど他の核保有国をどう扱うかという問題もあり、ロシア戦略ミサイル部隊のエシン元参謀長は「米露だけの交渉では行き詰まる」とみる。新たな交渉では新たな削減の検証方法の構築も壁となる。配備済みの戦略核弾頭については検証方法が確立しているが、未配備の戦略核弾頭の場合、貯蔵庫の位置など機密性の高い情報を明かす必要があり、両国の軍部の抵抗は必至である。(毎日新聞)

また、産経新聞によると、ロシアは昨年2月に改定した軍事ドクトリンで、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を「軍事的脅威」とし、核以外による大規模攻撃にも「核兵器の使用を辞さない」とした。米国が進めるミサイル防衛(MD)計画をめぐっても両国の溝は埋まっておらず、米上院は新STARTの批准を承認した昨年12月、米ミサイル防衛(MD)計画が新条約に縛られないとする決議を採択。ロシア議会はこれに対し、米MD計画の内容によっては新STARTから脱退できると批准法に盛り込んだ。


戦術核:射程距離が500キロメートル以下の核ミサイルや核弾頭など

戦略核:射程距離の長い大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機など


世界の核

戦術核数
モスクワ・カーネギーセンター

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