被爆再現人形は意味があったのか

広島市中区の平和記念資料館で1973年から展示されてきた3体の「被爆再現人形」が、4月25日の公開を最後に撤去される。被爆者からは「原爆の悲惨さを伝える素材として残してほしかった」と惜しむ声も上がっているという。

人形はプラスチック製で、大人の女性と女学生、男児の3体。原爆の熱線でぼろぼろになった衣服のすき間からただれた皮膚を露出し、焼き尽くされた市街地を逃げ惑う姿を等身大で表現されている。現在の人形は2代目で、91年から資料館本館に入ってすぐのスペースで展示されてきた。

しかし、資料館は耐震工事を機に展示を刷新し、遺品や写真など実物資料を中心とした内容に切り替える方針を決定。人形は収蔵庫に移し、18年7月リニューアルオープンの本館では常設展示しないことになった。

被爆者の間では撤去に賛否両論があった。広島県原爆被害者団体協議会の切明千枝子さん(87)=同市安佐南区=は「人間の生身の体に何が起きたのか、原爆の悲惨さを伝える手掛かりになっていた」と意義を訴える。

15歳で被爆した切明さんは、廃虚となった街で、やけどで皮膚を垂れ下げ、歩いてくる下級生の姿を見た。「皮膚は泥にまみれ、衣服は焼けて裸同然だった」と現実との違いを指摘しながらも、「人形には訴える力がある。悲惨さを頭の中で立体的に想像してもらえる良い資料で、撤去は残念」と惜しんだ。

一方で、「作り物にすぎない」「現実はこんなもんじゃない」との意見も強かった。また、市議会では「人形が怖い」との声も紹介された。資料館は「8月6日の悲惨さを伝えるため、より実態に即した資料を使う。来館者に恐怖を与えないようにする配慮で撤去を決めたのではない」と説明している。(時事)


おもちゃのような被爆再現人形程度では伝わらない


被爆再現人形
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