前田元検事がついに大林検事総長を辞任に追い込む

大林宏検事総長(63)が大阪地検特捜部の押収資料改竄・犯人隠避事件などの責任を取り、年内にも辞任する意向を固めたことが16日、分かった。65歳の定年まで任期は約1年半残っており、検事総長が任期半ばで引責辞任するのは極めて異例。後任には笠間治雄・東京高検検事長(62)が有力視されている。

村木厚子・厚生労働省元局長の無罪が確定した郵便不正事件の捜査・公判を検証している最高検が、24日に検証結果を法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」に報告するのに合わせ、大林氏は自らの辞任で体制を一新する必要があると判断したようだ。

大林氏は今年6月から現職。9月に大阪地検特捜部の元主任検事が郵便不正事件の押収資料を改竄していたとして証拠隠滅罪で起訴され、その改竄を隠蔽(いんぺい)したとして前特捜部長と元特捜部副部長が起訴された。いずれも懲戒免職になったほか、事件当時に大阪地検検事正だった福岡高検検事長や後任の検事正ら幹部3人が懲戒処分を受け、辞任している。

大林氏は郵便不正事件の捜査時、東京高検検事長で決裁には関わっておらず、一連の事件の処分対象になっていなかったため、法務・検察内部に辞任は不要との意見が多かった。大林氏も10月、柳田稔法務大臣(当時)から信頼回復に向け努力するよう異例の指示を受けて謝罪したが、引責辞任については否定的な考えを示していた。

犯人隠避事件の舞台となった大阪地検と大阪高検の幹部らは、「われわれが辞任に追い込んだ」と無念そうな表情を見せた。幹部の一人は「われわれが検察全体の信頼をおとしめ、総長を辞任にまで追い込んだのは申し訳なく思う」と唇をかみ、「身を律して誠実に職務に邁進(まいしん)している。その結果を国民に見てもらい、信頼回復につなげるしかない」と話した。

大林氏は大阪地検前特捜部長らを起訴した10月の会見で「思い切った改革案を講じ、検察のあるべき姿を取り戻すべく、全力を尽くしたい」と続投の意思を表明した。法務・検察内でも、法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」が改革案を打ち出す来年3月ごろまでは「大林体制」でいくとの見解で一致していた。一方で、検察内には「押収資料改竄・犯人隠避事件を(元主任検事らの)個人の問題として矮小(わいしょう)化してはいけない」との意見があった。

検事総長の引責辞任は検察史上異例のことだ。過去、検察組織は「失敗」をしても抜本的な見直しをせず、こうした“おごり”が未曾有の不祥事を生んだとも指摘される。検事総長の辞意は、ゼロから出直すという検察の強い姿勢の表れともいえる。(産経新聞)


【柳田法務大臣のコメント】
柳田法相は2日夜、大阪地検特捜部の主任検事による証拠改ざん事件で、主任検事の上司だった前特捜部長ら2人が犯人隠避容疑で逮捕されたことに初めて言及。「言葉がない」と失望感をあらわにした。柳田法相は「それを見た瞬間に言葉がもうないと。何やっとんじゃ、こいつらはと。言葉はちょっと悪いですけど、そんな思いがいたしました」と述べた。また、最高検が立ち上げた捜査の検証チームが最終報告をまとめる前に、外部の有識者らの意見を聴く必要性があると主張した。検事総長の責任問題については「今必要なのは、捜査をしっかりやっていただくことだ」と述べ、具体的な言及を避けた。(NNN)


この事件が明るみに出たきっかけは、大阪地検特捜部内からの内部告発で朝日新聞のスクープだったようだ。前田元検事が同僚に対してデータ改ざんをしたことを、「時限爆弾をしかけた」と、しゃべったと言われている。組織内で、彼の強引な手法を危惧する人間がリークすることになったのだ。

この事件を受けて、最高検が再発防止策として、東京、大阪、名古屋の高検に、特捜部が捜査する事件の証拠品をチェックする専門官を新たに置き、特捜部事件について取り調べの一部録音・録画という可視化を導入する方針も固めたという。しかし、一部だけでは完全な可視化にはならず、特捜部に都合のよい編集と供述調書がつくりだされることになるだろう。えん罪がなくなる日は遠い。

しかし、前田元検事が検察という組織を浄化させるきっかけになるとは皮肉なものだ。


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