広島に戻りたくなかった大分子供4人焼死事件の自衛官の初公判

昨年7月に大分県杵築(きつき)市の民家が全焼し、子供4人が焼死した火災で、重過失失火と重過失致死傷の両罪に問われた父親で海上自衛隊1尉(起訴休職中)の末棟(すえむね)憲一郎被告(41)=広島県江田島市=は1月26日、大分地裁・今泉裕登裁判長の初公判で起訴内容を大筋で認めた。ただ、灯油をまきライターに点火したとされる経緯については「覚えていない」と述べた。

末棟被告は杵築市の自宅から単身赴任先の広島県江田島市へ戻ろうとした際、妻(43=当時、その後離婚)が見送りに出て来なかったことに立腹して灯油をまいた、とする起訴内容について「『立腹』ではなく不安やおびえと表現した方が合っている」と主張した。その後、声を震わせ「灯油をまいてライターに点火したことは覚えていない。自分でやったとも、やっていないとも覚えていない」と述べた。

起訴状によると、末棟被告は昨年7月5日夜、玄関に灯油をまきライターを点火させたところ引火し、当時5〜14歳の4人を焼死させるなどしたとされる。検察側は冒頭陳述で、末棟被告が元妻に対し、自分をかまわないことを責め、さらにその後、うとうとしていた元妻に腹を立て、気をひこうとして玄関に灯油をまいた、と主張。さらに「職場に対する不満から広島に戻りたくないのに戻らなければならない、という葛藤があった」とも述べた。(毎日)



大分子供焼死



この事件を振り返ってみると、2015年7月5日深夜0時、大分県杵築市の住宅が全焼し、子供4人が遺体で見つかった。現住建造物等放火の容疑で逮捕されたのは、一家の父親である末棟憲一郎容疑者(40才=当時)。遺体は、長女・悠佳梨さん(14才=当時)、四男・雅祐くん(9才=当時)、次女・真由美さん(7才=当時)、五男・滋くん(5才=当時)と判明した。父親は警察の取り調べで「私が油をまいて火をつけました」と容疑を認めている。海上自衛隊に勤める末棟容疑者は、妻と8人の子供を持つ10人家族の主だった。


海上自衛隊幕僚監部広報室によると、末棟容疑者は2015年3月、山口県下関市の小月(おづき)航空基地から広島県江田島市の第31航空群標的機整備隊に異動。妻と子ども8人は杵築市に住んだまま江田島市に単身赴任しており、捜査関係者によると、週末はしばしば杵築市に車で帰り、月曜朝までに広島に戻る生活を続けていた。

今回も事件発生前の金曜日(3日)に帰宅。その際に「死にたい」「広島に戻りたくない」などと妻に漏らしていたという。火事は日曜日の5日深夜に起きており、家を出る直前だったとみられる。

さらに末棟憲一郎容疑者が「職場で悩みがあった」と供述していた。末棟容疑者は2015年3月、山口県下関市から広島県江田島市の部隊へ異動。職場の変化や単身赴任生活にストレスを抱えていた可能性があった。

大分県警などによると、末棟容疑者の一家は2011年から杵築市で暮らし、容疑者は週末などの休暇だけ単身赴任先から帰省していた。容疑者は「妻にかまってほしかった」と供述していた。5日夜、ささいなことから妻とトラブルになって放火したとみている。一方、出火後は妻とともに子供を助けようとした経緯もあり、ここ数年仕事面や家族と離れた生活に悩んでいたことが事件の背景にあるとみて、精神鑑定の実施も検討していた。


週刊紙の報道によると、

「まさひろぉ! 飛び降りろ! オレが悪かったんだぁあ!! うああああ!!」。燃えさかる自宅の前で、父親がへたり込み、絶叫する。その横で母親は半狂乱になり、頭から水を被って家に入ろうとして消防隊に羽交い締めにされた。

「おねぇちゃんあっついよぉ!! 早くおきてよぉ!!」。3才の娘の叫びが、赤い夜空に響き渡った。

「お父さんは広島基地に単身赴任していてね。週末は軽自動車で5時間かけてこっち帰ってきて、家族で過ごしていたんよ。短髪でガッチリして、寡黙な人だったけど、子供らをかわいがってたよ」。

最近でも、末棟容疑者が自宅の庭にテントを張り、煮炊きをして“プチキャンプ”を楽しむ様子が目撃されていた。だが現実に、彼は自宅に火を放ち、この小さな幸せを自ら終わらせた。彼の抱えた闇の深さは、ごく親しい人間しか知らなかった。

「最近、彼は仕事絡みでうつ病気味だったんだわ。彼の所属する部隊は、航空機の整備を担当していたんだけど、自衛隊特有の厳しい上下関係に加えて、パワハラ上司がいたみたいでよ。その日の気分によって司令がコロコロ変わるもんで、振り回されて毎日深夜まで仕事してたよ。そんで、疲れ果てた体で5時間かけて大分帰って、日曜夜にまた帰るんだから、相当きつかっただろうな。一家を広島に呼び寄せるっちゅう話もあったんだけど、自衛隊員は転勤だらけで、いつまた異動するかわからんから、その話もなくなった。最近じゃあ、“もう仕事辞めちまおうか”なんて話すこともあった」(末棟容疑者の友人)

離職について、彼は妻と再三にわたって話し合ったというが、結論は出なかった。

「そりゃ、子供がおるもん。奥さんと何度話し合っても、最後は必ず、“じゃあ8人の子供をどうやって養うんだ”っちゅう話になるんだわ。彼は40才で、転職先なんかあるかもわからん。実家の両親にも相談していたみたいだけど、答えが出んでな。もうニッチもサッチも行かなくて、最近は夫婦げんかも多くなってたんよ。心配になって奥さんに声かけたんだけど“ちょっと夫の体調が悪いんです。でも、うちは大丈夫ですから…”って気丈に話しとった。全然大丈夫じゃなかったんや」(前出・末棟容疑者の知人)
(女性セブン)
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