呉の潜水艦内自殺未遂事件で上官の暴力が一因と認定

2013年に呉の潜水艦内で拳銃自殺未遂が起きた問題で、当時の上官による暴力が一因だと認定された。しかし、海上自衛隊は上官らを停職などの懲戒処分にしながら、公表していなかった。国防という職務に携わる組織内で、それも逃げ隠れができない閉ざされた密室で行われる暴力。パワハラやいじめが横行するという異常な世界で身を置いて、国を守るなどという仕事ができるのだろうか。


海自そうりゅう


防衛相・自衛隊は、職務に関する行為で懲戒処分にした場合は、原則公開する指針を決めている。海自では、いじめやパワーハラスメントが原因の自殺などが相次いでおり、海自内からも責任説明化や再発防止のためにも公表すべきだとの意見が多かった。

2013年9月、広島県の海上自衛隊呉基地に停泊していた潜水艦の艦内で、乗組員1人が拳銃で自殺を図り、一時、意識不明となったことについて、海上自衛隊が、上司のパワーハラスメントが原因だとする調査結果をまとめ、幹部3人を懲戒処分としていたことが分かった。

2013年年9月2日午前5時45分ごろ、広島県の呉基地に停泊していた海上自衛隊の潜水艦「そうりゅう」の艦内で、乗組員の当時39歳の2等海尉が、血を流して倒れて倒れているのを、銃声のような音を聞いて駆け付けた別の隊員が発見。口から首にかけて銃弾が貫通したような痕があり、一時、意識不明となったものの、その後、意識を回復した。

これについて海上自衛隊が、上司のパワーハラスメントが原因だとする調査結果をまとめていたことが分かった。それによると、当時の上司の40代の幹部自衛官2人と、元上司の30代の幹部自衛官1人の合わせて3人が、殴るなどの不適切な指導をしたため、2等海尉は精神的に不安定となり自殺を図ったとしている。そのうえで、去年10月、幹部3人を停職などの懲戒処分とした。

防衛省は懲戒処分の場合、公表することにしているが、今回の処分は1月12日まで公表されていなかった。これについて、海上自衛隊は「プライバシーに配慮しながら公表すべきかどうか検討していた」としたうえで、「再発防止策を徹底していきたい」としている。

そうりゅうの艦内では、2012年10月に乗組員の男性3曹(当時20)が航行中に死亡した状態で見つかっている。海自は、いじめなどは確認されなかったとした上で、死亡場所が潜水時に海水が入り込む艦橋セイルだったことから、3曹が自らの意思で艦橋セイルに入り、自殺を図った可能性が極めて高いとした。(中国、NHK広島)


家族が国を提訴

2013年に広島県呉市の海上自衛隊呉基地に停泊中の潜水艦内で自殺未遂をした2等海尉の男性(42)の両親が、2016年1月中にも国を相手取り、3000万円の損害賠償を求める訴訟を山口地裁に起こすという。上官による男性への暴力が自殺未遂の原因と主張している。男性の兄の坂倉孝紀さん(45)と、両親の代理人の田川章次弁護士が明らかにした。

男性は13年9月2日未明、潜水艦「そうりゅう」の寝室で拳銃で自殺を図った。首の骨などを損傷し現在、意識はあるが、寝たきりとなっている。15年8月にうつ病や頸髄損傷などで公務災害の認定を受けた。

坂倉さんによると、調査に当たった防衛省海上幕僚監部から1月までに3回報告を受けた。それによると、男性は13年6~8月、上官の1人から「業務処理が遅い」との理由で殴る蹴るの暴力を複数回受けた。自殺未遂は「潜水艦内における暴力を伴う指導」や「艦長らが(男性の)精神状態を把握していなかった」ことなどによるうつ病が一因との結論だった。

11年7月にも別の上官から暴力を受けていたとして、海自がこの上官2人を含む3人を2日と10日の停職や、戒告の懲戒処分にしたことも報告を受けた。しかし海自は処分を公表していない。

坂倉さんは「自衛隊は指導と言うが、弟が受けていたのは単なる暴力。隊内で対処した形跡もなく上官の処分も軽い。裁判で暴力行為を明らかにしたい」と話している。手続きが整えば上官に対しても提訴する方針。(毎日)



海上自衛隊



「海自・自殺未遂」一度は非公表決定 懲戒処分は原則公表

2016年1月26日、海上自衛隊呉基地(広島県呉市)配備の潜水艦で、上官から暴力を受けていた2等海尉の男性(42)が自殺未遂した問題で、海自が上官ら3人の懲戒処分を昨年10月に非公表と決めていたことが分かった。防衛省は職務に関する懲戒処分を原則公表と定めており、海自トップの武居智久海上幕僚長は1月26日の定例記者会見で「懲戒処分にした日に可能な限り公表すべきだった」と陳謝した。

男性は2013年9月、潜水艦「そうりゅう」内で拳銃で自殺を図り、首の骨などを損傷して寝たきりになった。海自は直後に事故調査委員会を設置し、家族の要望も受け2度の追加調査をし、昨年7月、男性が上官から暴力を伴う指導を受けていたなどとする報告書をまとめた。

海自によると、海自は昨年9月、上官らが懲戒処分の対象であり、そうなれば処分とその理由は原則公表することになっていると男性の家族に説明。男性の家族の一部が公表を望まない意向を示したため、公表基準にある例外事項「被害者や関係者のプライバシー等を侵害するおそれがある」に当たると判断し、10月23日に非公表を決定。同26日に上官ら3人を停職や戒告の懲戒処分にした。

処分を決めたものの、報道機関からの問い合わせもあったため、2016年1月8日に家族に公表について相談。男性の両親が国の責任を問うため損害賠償請求訴訟を起こす動きがあったことから、1月12日に再度家族に聞いたところ、公表に同意したという。海自は問題が報道された後の14日に処分を公表した。海自が懲戒処分を非公表にした後、公表に変えたケースは今回以外にはないという。

武居海上幕僚長は会見で「今回の問題は重大な事案。公表に対する家族の懸念を払拭する努力が足りなかった」と述べた。処分後、家族との面談が約2カ月半ほどなかったことについて「日程が合わなかった。配慮が足りなかった」と述べた。この問題では男性の兄が「家族として非公表を要望したことはない」と話している。(毎日)
関連記事

Comment













非公開コメントにする
Trackback

Trackback URL