高速増殖炉「もんじゅ」は電力会社もあきらめていた

1970年に知恵の象徴とされる文殊菩薩にちなんで命名された高速増殖炉「もんじゅ」だったが、本当に夢物語で終わりそうだ。日本にはノーベル化学賞や物理学賞を受賞した人が少なからずいるが、国策と言われた「高速増殖炉もんじゅ」に、このような人たちの知恵なり協力は得られなかったのか、それとも現代日本の知恵と技術をもってしても不可能だったのか。それともそれ以前の問題で、単なる人間同士のエゴだったのか。


電力会社でもできない「もんじゅ」
原子力規制委員会が高速増殖原型炉「もんじゅ」の運営主体を変えるよう、文部科学相に勧告した問題で、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は11月20日の会見で、「実施主体を我々電力が引き受けるのは大変難しい」と話した。原発専業会社の日本原子力発電も同様との見解も示した。電力会社が新たな運営主体になり得るかを問われたところ、八木会長は「もんじゅは研究開発段階で、国の領域。我々は実用炉が仕事だ」と理由を説明した。原子炉を冷やすのにナトリウムを使うため、「技術的な知見がない」とも述べた。


クローズアップ現代「もんじゅ失格」
12月8日のクローズアップ現代では、「夢の原子炉はどこへ、もんじゅ失格勧告の波紋」と題して放送された。番組内容は、1兆円以上が投じられた巨大プロジェクトが岐路に立たされているというもの。平成6年、エネルギー資源の少ない日本で夢の原子炉とされてきた「高速増殖炉もんじゅ」だが、11月18日、原子力規制委員会が、今の組織は「もんじゅ」を安全に運転する資質を有していないとして、運営主体を変えるよう勧告に踏み切った。


「もんじゅ」は20年前、ナトリウム事故を起こしたが、その後もトラブルや保安規定違反を繰り返した。その後もほとんど運転できていない状態だ。


国が想定する2030年のエネルギーミックス、電源構成は電力の20%余りを原発で賄うというものであるが、原発を動かすと出てくるのが使用済み核燃料。しかし、各地の原発の保管スペースはすでに70%が埋まっている。原発の再稼働が進み、使用済み核燃料が増えると、保管スペースに問題が生じてくる。


核燃料サイクル「もんじゅ」のシステムとは、原発から出てくる使用済み核燃料を再処理工場で再処理し、プルトニウムとウランを取り出し、高速増殖炉で燃やすと使った以上の燃料を生み出すことから、夢の原子炉とされてきた。ところが研究段階の「もんじゅ」はトラブル続きだった。


平成6年:試験運転開始
平成7年:ナトリウム漏れ事故(12月8日)運転が長期間止まる。
平成22年:試験運転再開(5月)、炉内に装置を落下させる事故(8月)
平成24年:約1万点の点検漏れ
平成25年:試験運転の禁止命令
平成27年:1387点の重要度分類の誤り発覚、11月13日:失格勧告


「もんじゅ」の運営主体は日本原子力研究開発機構で国、電力会社、メーカーが支援している。


平成21年に導入した保全プログラムでは、5万件の機器の点検方法や頻度を定めた。しかし3年後、1万件近くの機器点検漏れが発覚。原因はトラブル発生時の対処方法も決めずにいた現場の知識、経験不足だった。点検方法の不備、点検記録の紛失、設備の重要度分類の大量の誤りが相次いだ。


なぜ、組織の体質を変えることができなかったのか。「もんじゅ」のトップである青砥紀身所長は、「国家プロジェクトをやっていて、こんなに長い間、ひとつの問題で拘泥してていいのか。さっさと解決して問題を次のステップを踏まないといけない。脅迫観念、切迫感というのはどうしてもある。表面的にとらえてそこを直せば何とかなるだろうと思ったのが問題」と語った。


5年前まで「もんじゅ」の所長を勤めてきた向井さんは、電力会社からの協力が得られにくくなっており、「電力会社が原発で培ってきた技術、経験、知見というものは十分活かせる。出来るだけ人を出してください、という交渉は我々も電力会社とずっとやてきた」と語った。


さらに他の機構関係者は、「新人が送り込まれてきた」「数合わせだ」「出向者の間で引き継ぎが徹底されず技術が継承されない」などと人材をめぐる問題が浮き彫りとなった。背景には、高速増殖炉の実用化が見直せなくなったことがあるという。


「もんじゅ」の当初の実用化の目標は、1980年代だったが、その後、2030年代、2050年代へと延期され、今では時期すら示されなくなった。


原子力機構 福島事故後も天下り38人、「もんじゅ」請負先など横滑り
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を運営する日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)が、機構OBらが経営する「ファミリー企業」と不透明な契約を続けている問題で、福島の原発事故後もOB38人が20法人に天下っていたことが分かった。機構は、契約のあり方を抜本的に改善するとしていたが、疑念を招く根本原因であるOB問題は実質的に手付かずだったことになる。

東京新聞が12月4日付で報じた28のファミリー企業・団体の受注額順に、原発事故後の2011~15年度の5年間で、機構OBが、どの法人のどんな役職に就いたのかを一覧にしている。

中でも疑念を抱かせるのは、もんじゅの管理面を担当する敦賀事業本部の本部長代理らが、ほぼもんじゅ関連の業務だけで成り立っている警備会社「ナスカ」(東海村)や検査会社「高速炉技術サービス」(敦賀市)の社長や役員として再就職している事例。

このほか、原子力施設の保守・分析を得意分野とする「アセンド」(東海村)の東海村や茨城県大洗町の事業所長に、機構が同村と同町に保有する研究開発施設の技術者が就任している事例もあった。

これらはいずれも、数年前までもんじゅなどに携わってきた人物が、業務の請負先のトップや現場責任者に横滑りする形だ。後任の機構職員らは、先輩や上司だった人物を相手にすることになり、ミスがあっても口を出しにくく、発注を打ち切りにくい風土を生みだしかねない。

柚木氏は「機構をめぐり、依然として天下りなどのなれ合いの構図が続いている。このこと自体が、原子力規制委員会から事実上のもんじゅ廃炉勧告を出された一因にもなっているのではないか」と指摘した。

機構の広報担当者は「退職者への再就職あっせんや情報提供を禁止するルールを定め、厳格に運用している」と、機構として天下りには関与していないと強調した。また「関係のある企業・団体に再就職したOBは、機構で得た知識や経験が、再就職先の需要と合致したケースなどが考えられる」と話した。(東京新聞)


原発・もんじゅ関連企業
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