「無届け介護ハウス」が存在するという日本格差社会

12月6日、NHKニュースで広島市西区にある介護施設が紹介されていた。その施設は「無届け」で運営されている。日本は先進国と言われるが、これも陰に隠れた格差社会の一場面であり、働きざかりの世代であっても、もしかしたらいずれはこの問題に直面するかも知れない。


放送内容では、介護が必要な高齢者が増え続ける中、法律で義務づけられた届け出を行わないまま、空き家や社員寮などに高齢者を入居させ、介護などのサービスを提供する、いわゆる「無届け介護ハウス」が全国で少なくとも1900件余りあるという。専門家は「行政の指導が行き届かず、高齢者の安全が脅かされる恐れがあり、実態の把握を急ぐべきだ」と指摘している。


高齢者を入居させて食事や介護などのサービスを提供する施設は、有料老人ホームとして都道府県への届け出が法律で義務づけられ、国のガイドラインでは個室の整備や防火設備の設置が定められているが、なぜ「無届け介護ハウス」が存在しているのだろうか。


全国の地域包括支援センターの回答によると、「無届け介護ハウス」が必要だと考えている割合は38%に上った。その理由については、「高齢者の所得が低いなど、既存の施設では入所の要件が合わない」が最も多く81%、「家庭環境の変化や家族の問題」が47%、「特別養護老人ホームなど公的な施設が不足している」が43%などとなった。また、「年金だけで入れる施設は圧倒的に少ない」とか、「要介護となったとたん暮らす場に困る」といった意見が多く、無届けの施設が、行き場を無くした高齢者の受け皿になっていることが分かった。


一方で、「無届け介護ハウス」は必要でないと答えたセンターも全体の44%を占め、その理由として最も多かったのは「安全性や居住環境などの不安」で全体の78%に上った。


事業者「公的施設に入れない人には必要な施設」

「無届け介護ハウス」に入居している高齢者は、自宅での介護が難しくなり、公的な施設を希望したものの定員がいっぱいで入れなかったという人が少なくないという。

広島市西区にある無届けの施設は、専門学校だった5階建てのビルを改修し、60代から90代の高齢者21人が暮らしている。福田さん(93)は、認知症を発症した妻(89)を自宅で介護していたが、妻の症状が重くなったため一緒に入れる施設を探していた。しかし、特別養護老人ホームへの入居は難しいと考え、3年前、この施設に入居した。

4階の6畳ほどの部屋に住む久留米さん(84)は、一昨年、脳梗塞で倒れ、左の手足が不自由になった。自宅での介護は高齢の妻に負担をかけると考え施設を探したが、特別養護老人ホームには入れず、月に受け取る20万円の年金から妻の生活費や医療費を差し引くと、民間の有料老人ホームに入るのも難しかったと言う。

施設の1カ月当たりの利用料は14万円程度と、民間の有料老人ホームの平均より10万円ほど安く、常駐するヘルパーが食事や介護サービスを提供している。。久留米さんは「行き場所はここしかなく、自分にとっても家族にとっても助かっている」と話した。

利用料を安く抑える一方、この施設は有料老人ホームに設置が義務づけられているスプリンクラーが無いなど、国の指針を満たしていない。事業者は高齢者の負担を増やさないために、今後も改修工事を行うなどのコストはかけられないという。施設を運営する介護サービス事業者の岡田さんは「公的な施設に入れない人が多く、行き場を失った人を受け入れるためにこうした施設は必要だ」と話した。

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