大学措置法で暴動と化した広島大学(1969年)

安保法制の解釈が割れている中で、法案が成立した暁には反対派(護憲派)による暴動は起きるのだろうか。社会生活における治安維持のための規制や法整備は現代社会では当たり前だとしても、生きる世界が違う人たちにとっては、我慢できない事かもしれない。そう考えると、自由と平和を声高々に叫ぶ人こそ危険なのかも知れない。そんなことから、過去に「大学措置法」という法律が臨時的に作られ、これによって全国の大学で暴動が起きた。広島大学でも火炎ビンによる暴動があった。そんな当時の様子を朝日から引用し、例として上げてみたい。


大学措置法の施行初日は、西と東の二つの大学で、はじける火炎ビンとガス弾の連射音に明けた。1969年8月17日早朝、警備車や放水車を先頭に広島大学本部構内に入った機動隊は、メタセコイアの並木までバリケード用に切倒して6階本部にたてこもる学生の抵抗にあい、封鎖の完全解除は18日に持ち越された。

東大安田講堂事件のときの無残な光景が、ここでも繰り返えされた。一方、東京の中央大学でも同朝、学生会館屋上の学生が、機動隊めがけて民家の立ち並ぶ路地にまで、火炎ビンの雨を降らせた。



広大暴動



8月17日午前8時すぎ、広島大本部のバリケード排除に取り掛かった時、機動隊の放水車の屋根にパッと火の手があがった。一発、二発と本部屋上の学生たちは、放水車を狙って執拗に火炎ビンを投げる。

炎の中から連続的に爆発音が響く。バリケード用に切り倒してあった並木のメタセコイアが火を吹く。石油がかけてあったのだ。コンクリートの地面が火の海になった。広島県警自慢のピラミッド型の鋼鉄製トンネル車も近づくことができない。数台の放水車が筒先を炎に向けるが、放水車の屋根や周りでも火炎ビンが何度も燃え上がった。

10時40分、催涙弾が屋上に打ち込まれた。激しい破裂音が続き、白煙が立ちのぼる。このとき、本部に隣接する木造の学生ホールからドス黒い煙が吹きあげた。本部屋上の学生たちの頭上を越えてモクモクと立ちのぼった。

「市民のみなさん、暴力学生の火炎ビンで火事になりました」と警察のマイクが叫ぶ。催涙ガスで真っ赤に目をはらした大学職員が「大学措置法のもたらしたものがこれなんだろうか」とつぶやいた。

放水車が消火作業にまわる。学生たちの投げた火炎ビンは約500本。3種類以上の薬品をまぜた新式のもので、落下すると、パッと火を吹いて広がり、たて続けに爆竹のような音を出す。機動隊もしばしばひるみ、攻撃は再三中断。火炎ビンと投石を頭上にあびて「進め」「引け」の号令が繰り返された。

また、大学正門前では「ゲリラデモ」。大学正門、大学会館前に「タテ」を並べて警備する機動隊員に、学生が歩道の市民の間から出て、激しく投石しては逃げる。幅約30メートルの電車通りは子供の頭大からこぶし大の石がごろごろ。交通は完全にマヒした。ひやかし半分の市民は約3000人。群衆の中に逃げ込む学生や小路を逃げ回るゲリラ戦法に機動隊の警備も効果があがらない。

一方、機動隊導入に踏み切った大学当局の表情は、話し合い路線から実力行使に転じた事情と目前に展開する無残な光景との間に立って、決意とためらいに引き裂かれていた。

機動隊導入に先立って、大学では、教官、職員約100人が午前4時に特設本部の大学会館に集合、午前5時の退去命令通告と同時に警備、連絡、記録、調査、救護などの各班にわかれて活動を始めた。

大学会館の屋上に立った飯島宗一学長。黒っぽい背広に手を後ろに組み、まだ封鎖中の本部建物を見つめる姿には、静かな決意のようなものが感じられた。

スピーカーから流れる退去命令通告の声も静かで落ち着いていた。その直後の記者会見では「あくまで自主解決への一歩。大学措置法とは無関係」を強調した。

機動隊の攻撃がしたかを見はからって、数カ月ぶりに封鎖のとかれた文・政経学部などの校舎を現場検証立ち合いの各学部長らが見回った。「めちゃくちゃだ」。

一緒に回る飯島学長の足は重そうである。「これでよかったのだろうか。局面はさらに困難になるかもしれない」と言う。

大学措置法と全共闘学生との間に立って苦慮・苦悩するうめき、ともとれた。


【京都大学などで封鎖拡大】
京大全共闘の学生約200人は8月17日午後、大学措置法施行に反対して本部時計台前広場で集会を開いたあと、午後5時ごろ、工学部事務室(レンガ造り2階建)をロッカー、イスなどで封鎖した。しかし、夏休み期間中で学内の混乱はなかった。同建物は6月にも封鎖され、これが2度目。なお、同大学では文学部の新・旧両館、医学部、教養部でバリケード封鎖が続いた。

北海道大学や九州大学でも同様の動きが見られた。


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