今読んでみる「原爆の子」で地獄の果てを見る・被爆70年記念シリーズ第6弾

今さら、誰もこんな本は読みたくないだろう。この本を読んだところで原爆孤児たちの話題など、仲間内で出来るはずもない。恐らく全国でもこの本を読んだ人はごく一部かも知れない。

この本の存在は10代の頃から知っていたが、読む気にはなれなかった。本のタイトルからして内容が推測できる上に、被爆者のことは多くの写真を見ることで十分だったからだ。しかし、この本は、原爆の惨状を知るうえでのバイブル的な本だから一度は読んでおいたほうがいいと思っていた。そんなことから、古本屋で買っておいてそのままになっていた「原爆の子」を読んでみた。

この本は、100人あまりの被爆児童・生徒の作文を広島大学教授・長田新氏によって、まとめられたもので、昭和26年(1951年)に出版された。当時、5歳から10歳くらいの子どもたちが、1945年8月6日の原爆投下から、奇跡的に命を取り留めて、6年後にそれぞれ手記を綴り、まとめたものだ。内容は全て、原爆が投下された8月6日前後の様子を書いており、両親や兄弟が、放射能や熱線をあびて皮膚がただれたり、毒ガスを吸って、数日後には亡くなったり、紫色の斑点が出来て死を迎えたりと、肉親との別れを綴っている。

当時の広島市内では、原爆による被害を受けた人と、奇跡的に受けなかった人がいたため、原爆による熱線を浴びて、体に異常を生じた子供が、学校や近所の人から嫌がらせを受けるということも書いてある。

このような当時の在り様を、10代の少年少女が目の前で親や兄弟が原爆病で苦しみながら死んでいく様子を赤裸々に何人も綴っているのだから、本当に恐ろしく辛くなる。

興味深いのは、ほとんどの虎児が原子爆弾をこの世から無くしたいと書いているが、中には原子力の平和利用を早く進めて、廃墟となったヒロシマの復興を急いでほしいと書いた子もいる。

読めば読むほど、あの時の戦禍が目の前に甦ってくるようだった。この本は一度は読むべき、評価の高い本だろう。総勢100人あまりの少年少女が、すべて異なる家庭環境の下で起きた惨状を書き綴った文章は、最高の報告書であり、これ一冊で、あの時の全てを知ることが出来ると思う。
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