【日の丸・君が代の呪縛再考シリーズ12】朝日新聞の論調

国旗・国歌法に対してヒステリックなまでに反論する朝日新聞は、ある意味面白い。自虐史観、つまり自虐ネタが好きな報道機関といえる。まるで、広島県民がつくった新聞社みたいだ。以下、1999年の記事を同新聞から引用。


1999年3月1日
君が代斉唱の強制は流に反する
・・・入学式・卒業式での「日の丸・君が代」は、1989年の学校指導要領の改訂で事実上義務化された。背景には自民党文教族などの強い後押しがあったといわれる。以来、掲揚率、斉唱率は上昇し、昨年の文部省調査では、全国の公立学校の98パーセント以上が「日の丸」を、80パーセント以上が「君が代」を実施した。実施率は都道府県による差が大きい。

広島県は「君が代」の実施率が低い。教職員組合などが平和教育、人権・同和教育に熱心で、その歌詞が国民主権や平等の理念と矛盾するのではないかとの反発も強い。昨年の同県での高校卒業式での斉唱率は、18.6パーセントと、全国平均の80.1パーセントを大きく下回った。文部省は昨年5月に是正を指導した。これを受けた広島県教育委員会は今年2月に「職務命令」を県立学校長に出して、完全実施を強く求めた。職務命令は全国的にも異例な措置だった。

校長が自殺した高校でも1日の卒業式を控えて、教職員の会議や、校長と教職員組合側との話し合いが連日のように続けられていた。

日の丸・君が代問題は、戦争や歴史への見方とも絡んで、大人の世界でも意見が分かれる。それを一律に学校に持ち込み、子どもたちへの指導を強制することには反対だ、と私たちは主張してきた。この問題で教育の現場が混乱するのは不幸なことだ、とも考えている。

おりしも文部省は、89年改訂以来の新しい高校学習指導要領案を公表した。その眼目は生徒の学習選択の幅を広げ、一人ひとりが個性に応じ主体的に学ぶことを重視する、つまり「自ら学び自ら考える」力をはぐくもう、というものだ。

各学校の創意工夫も強調した。教科書のない「総合的な学習の時間」の新設のほか、各高校が独自に教科・科目を設定することも可能になる。


昨秋の中央教育審議会答申は「文部省などの『口出し』はできるだけ減らし、各学校の裁量の幅を広げ、自主的・自律的な学校づくりをめざすべきだ」と、上意下達の見直しをうたった。学校や生徒の自主性を大事にする、というのは教育行政の大きな流れといえる。

それなのに、日の丸掲揚と君が代斉唱だけは、上から形式的に強制する。そこだけ逆流しているような違和感がある。文部省は「国旗・国歌」を義務化する理由を、「国際社会の中で主体的に生きていく上での日本人としての自覚を培う」と説明する。

しかし、文部省や県教委が職務命令を振りかざして押しつけることから、主体性や自覚が培われるだろうか。「強制」と「自ら学び自ら考える」ことは、どうみても矛盾するのではないか。

卒業式や入学式をどういう形で持つかは、各学校で話し合い、それぞれの形をつくればよいことだと思う。「日の丸・君が代」の義務化は、指導要領からはずすべきだ。


1999年3月20日
法制化に追い風吹かず、徹底は大正、元は黒田節風
卒業式を前に広島県立高校の校長が自殺した事件をきっかけに、日の丸・君が代の法制化問題が政治の表舞台に出てきた。戦後教育のなかで意見が二分されてきた古くて新しい問題だけに、政府・自民党の中ですら今なぜ法制化なのか戸惑いがある。そこで歴史的経緯も振り返り、法制化の行方を考えてみた。

政府は今国会で日の丸・君が代を法制化する理由として、①日の丸、君が代は国旗、国歌として国民各層に定着している②それを文部省の学習指導要領だけで根拠づけるのは無理がある、ことを挙げている。

しかし、1990年の最高裁判決で学習指導要領の法的拘束力が認められ、全体としては学校現場で日の丸・君が代は定着しつつある、といわれている。このため、教育関係者や野党議員からは「なぜ、いま慌てて法制化する必要があるのか」という声が出ている。それだけではない。自民党の文相経験者は最近、文部省幹部に「すでに慣習として定着している。法制化はなじまない」と注意した。法制化議論が高まれば、逆に「法案の成立までは法的根拠がない」という空気生むと心配したためだ。

別の閣僚経験者は「安易な法制化議論は日の丸・君が代意外の国旗・国歌制定を求める運動につながる」と警戒する。

自民党と連立を組んだ自由党は法制化に賛成しているが、野党は慎重な対応をとっている。参院でキャスティングボードを握り、法案成立のカギを握る公明党も「法制化が必要かどうかはもっと議論した方がいい。君が代は『君』が主権者をさすのか、象徴天皇をさすのか議論がある」(冬柴鉄三幹事長)と政府の動きにブレーキをかけている。それでなくても後半国会ではガイドライン法案や中央省庁改革関連法案など重要法案の処理が残っており、日の丸・君が代の法制化は難しそうだ。


国旗・国歌法案「審議」12日間、きょう成立、指導・処分、問題残す
日の丸・君が代を国旗・国歌とする法案は9日、参院の国旗・国歌特別委員会で可決されたあと、参院本会議で自民、自由、公明三党と民主党の一部議員の賛成多数で可決され、成立する。6月29日に参院本会議で審議入りして以来、衆参両院の委員会の実質審議は地方・中央の公聴会を含めて計12日間のスピード成立となる。しかし、学校での日の丸掲揚や君が代斉唱をめぐり、法制化をきっかけに教職員への職務命令や生徒・児童への指導が強化されるのかどうかなど、国会論戦で詰め切れていない課題は多い。

参院特別委は9日、有識者から意見を聴く中央公聴会と小渕恵三首相が首席する締めくくりの総括質疑をしたあと採択。法案は参院本会議に緊急上程され、可決、成立の運びだ。民主党は参院での採決と同様、日の丸を国旗とすることに限定した修正案を提出するが、否決される見通し。そのあと採決する政府提出法案に同党は党議拘束をかけず、自主投票で臨む。

野党側が早期成立に反対する理由に挙げたのは①政府は教育委員会・校長と教職員組合の対立を解消することが法制化の目的としており、学校現場での指導は強化されるはずだ②戦前の軍国主義と関係の深い「君が代」は、憲法が定める国民主権や平和主義の理念にそぐわない③法制化について国民世論が二分されているのだから慎重な審議が必要だ―という点だった。

政府側の説明にあいまいな点が多い。野中広務官房長官らは「生徒・児童の内心に立ち入って強制はしない」と説明する一方で、教職員に法順守を迫る姿勢も示しており、職務命令や処分が強化される可能性は消えていない。歴史認識をめぐっても、野中氏らは、日の丸・君が代の法制化と戦前の軍国主義の評価は分けて考えるべきだと強調し、共産党などが提起した天皇の戦争責任や歴史教育の強化などの問題は議論が深まらなかった。

このため、法が施行されたあとも、来春の入学・卒業式などに向けて文部省や都道府県教委など行政側の圧力が強まらないか、などをめぐる論議が続きそうだ。


1999年8月10日
法案通して連立グラリ「強制」巡る結論示せず、国旗・国歌法成立
9日、成立した日の丸・君が代を国旗・国歌とする法律を巡る国会審議で、最大の焦点は、学校現場にどんな影響が出るのかだった。政府は「学校現場への強制はしない」という建前を繰り返した。その一方で、立法目的で、「教育現場での対立の解消」を挙げ、教職員にに対する職務命令や処分といった強制的な措置の可能性を示唆した。つまり、強制については明確な結論を示せなかったのだ。そもそも、こうした教育への管理強化だけで、子どもたちが愛国心をはぐくむことができるのだろうか。戦争責任を含めた日本の「負の歴史」を教える必要性については、与野党を問わず提起された。法成立は論議の終結ではなく、歴史教育や愛国心を考える出発点とみるべきだ。


反対運度、再燃も「歴史教育」に課題
もともと、この法律についての野中広務官房長官の説明は矛盾をはらんでいた。広島県で起きた校長自殺をきっかけとした「教育現場での対立の解消」が立法目的であることを明言しながら、同時に「学校現場への強制はしない」としていたからだ。

実際には、教職員による日の丸・君が代反対運動が一部の地域で根強く続いている以上、文部省が都道府県教委への指導を強め、校長が教職員に職務命令を出し、それに違反した教職員に対し教委が処分を行うという管理強化抜きには、野中長官の言う「目的」は達成されないだろう。審議が進むにつれ、野中長官も、公立学校の教職員に「法順守」を迫るなど、管理強化を認めるしかなくなり、国会審議がかえって現場の不安を広げることになった。

文部省は「法律ができても、学習指導要領に基づく学校での指導は変わらない」との建て前を掲げ、強制への懸念に対しては「児童・生徒の内心にまで立ち入っての強制はしない」との1994年の政府見解を繰り返してかわそうとした。それでも「すべての学校で掲揚・斉唱が実施されるためには職務命令もありうる」との姿勢に疑問をもった議員から、「教員の立場からすれば、生徒になんらかの強制を与えないと自分が処分される、ということになる」という質問も出たが、はっきりした答弁はなかった。

野中長官が法制化のきっかけと強調した広島の自殺事件の背景には、君が代斉唱などに対する強い組織的な反対運動があった。同時に、文部官僚出身の県教育庁が県立学校に職務命令を出し、卒業式などで君が代斉唱を実施しなかった校長を処分するなど強硬姿勢で臨んでいた。法制化によってこうした対立がすぐにおさまりそうにはない。

政府の法制化の動きに危機感を強めた日教組はこの6月、5年ぶりに「強制反対」を運動方針に盛り込んだ。国旗・国歌法が圧倒的多数の賛成で成立したことを背景に、広島県のように反対運動が根強い地域で教育委員会が管理強化を進めれば、文部省と日教組との協調路線で鎮静化していた反対運動が再燃しかねない。学校現場の対立は収まるどころか、かえって深刻になる恐れがある。

国会審議で自民・自由両党の議員は、学級崩壊や少年犯罪の増加などの問題解決のため、日の丸・君が代をはじめとする愛国心教育の必要性を強調した。一方で、野党側が問いかけたのは「日の丸・君が代がアジアへの侵略戦争のシンボルになった歴史を教えないままでは、真の愛国心ははぐくまれない」という点だった。野中長官も「負の歴史」を含めて日本の近現代史をきちんと教える必要性を認めた。法律に賛成した公明党にも「職務命令や処分で校長と教員の信頼関係が引き裂かれたら、子どもたちにちゃんとした教育ができるのか」と文部省にただした議員がいた。

法律の審議は不十分だったとか言いようがないが、重要な疑問も提起されている。国旗掲揚・国歌斉唱の強制の有無をどうチャックしていくのか。長い目で見た歴史教育をどう進めていくのか。法案審議が政治に突き付けた課題は重い。


中国、遠回しに懸念、軍などに危ぐの声
中国外務省は9日、日本の国旗・国歌法成立について、「成立を注視している。歴史的原因から(日本国内に)依然として異なった見方があることも承知しており、日本が平和発展の道を引き続き歩むことに役立つよう、この問題が解決されることを希望する」との談話を発表し、遠回しに中国の懸念を示した。しかし同日付の人民解放軍機関紙「解放軍報」がより直接的に懸念を表明するなど、軍など一部では再び日本の右傾化を危ぐする声が高まりつつある。

中国政府はこれまで、日本への内政干渉と受け取られないよう「日本国民が決めることで、中国が口出しするはずはない」(唐家璇外相)との態度を示してきた。外務省談話はこうした点を考慮しつつ、中国国内の懸念も間接的に伝えるよう配慮したものと言える。


韓国メディア強い警戒感
日本の国旗・国歌法成立に関連して、韓国政府は事態の今後の推移を慎重に見守る姿勢だ。しかし、韓国メディアは総じて、新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)策定や、靖国神社のあり方の見直しの動きなどと合わせ、「一連の戦後清算作業象徴的事件」と位置づけ、日本の右傾化・保守回帰として周辺国を刺激する、などと警戒感を強く出している。

有力紙・東亜日報は「日本は右傾化していく」と題する連載企画を始め、「敗戦以降ほぼタブー視されてきた論議や立法がせきを切ったように行われている」とし、「有事法制の整備や平和憲法の改定など宿題解決を急いでいるように見える」と指摘した。

「日本の若者に独自の愛国心」比の研究者は歓迎
日比関係の中立的な研究で知られるデラサール大学東アジア・ユチェンコセンター長のウィルフリド・ビリアコルタ教授(国際関係)は、国旗・国歌法制定について、「いいことだと思う」と、歓迎の意を示した。「戦後50年以上がすぎており、日本の若い世代の中には独自の愛国心が芽生えている。合法的にそれを表現させまいとすれば、平和や安定とは逆の方向へ向きかねない」と話す。

同教授はまた、「日本は同時にアジアの隣人を常に意識すべきだ。健全な愛国心以上のものであってはならない」とくぎを刺した。
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