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広島教師2人アフガン殺害事件(2005年)

平成17年8月6日(2005年)にパキスタンへ出発した広島県尾道市の教師2人が行方不明になり、アフガニスタンで殺害された事件。

教師2人とは、尾道市立美木中学校の技術教諭・福正純さん(44)と、英語教諭の長谷川忍さん(30)。2人は8月19日の帰国予定日を1週間すぎても戻らないため、現地の大使館で行方を捜していたが、アフガニスタン南部カンダハル州の砂漠で9月1日夜、パキスタン国境からカンダハルへ向かう幹線道路から6キロ横へそれたダマン地区で、死体となって見つかった。死後、かなりの日数がたっていた。

アフガニスタン・ダマン

遺体は9月2日午後5時半(日本時間10時)ごろ、カブール中心部にある内務省に運びこまれた。同省内でカブールの日本大使館が遺体の確認にあたったが、奥田紀宏・駐アフガン大使は「遺体の損傷が激しく、男女の識別意外は現段階では確認できなかった」と語った。

9月3日、アフガン保健省の医師は、同州で行方不明になっていた2人と「歯形が一致した」と語り、日本外務省もこれを確認した。

2人の頭部には1発ずつ、至近距離から銃で撃たれた跡があり、何者かに射殺されたとみられる。アフガン保健省のエフサルナ・ハレミ法医学研究所長によると、遺体はいずれもTシャツという軽装だった。死後3週間以上たっていた。

パキスタンの国境管理当局者によると、2人は8月8日、パキスタン西部チャマンから陸路でアフガンへ出国した記録が残っているが、アフガン側では入国の記録が確認されていなかった。

アフガニスタンで男女の遺体が見つかったカンダハル州の周辺は、反政府勢力タリバーンの活動が最も盛んで、治安が悪化している地域だった。米国との間で激しい戦闘が断続的に起きていた。関係者は「旅行ができる状況とはほど遠い」などと口をそろえていた。カンダハル州では6月に、州内の町の警察や政府庁舎をタリバーンが一時占拠し、警察署長ら8人を殺害する事件も起きた。

国境から約100キロパキスタン側に入ったクエッタに現地事務所を置く医療NGO「AMDA」によると、カンダハル州周辺では現在もタリバーンの攻撃を受ける可能性があるため、特に外国人が国境を越えてアフガニスタンに入る際には、陸路を使わないのが一般的だ。

国際協力機構(JICA)も、職員がこの地域の国境を陸路で超えることを禁止している。国境線を警備しきれないため、アルカイダなど過激派の移動や武器・麻薬の密輸に使われている。また、アルカイダやタリバーンのほか、追いはぎや強盗も出没するため、アフガニスタンでもっとも治安の悪い地域だという。

平成17年4月まで首都カブールなどで学校建設や井戸掘削を支援していたNPO「ネットワーク『地球村』(本部・大阪市)の羽鹿秀仁さん(42)は、行方不明になっている2人について「どういう情報で国境に近い地域に行ったのか不明だが、この地域を陸路で移動するのは無謀かな、と思う」と話す。

広島県尾道市美木中学校の関係者によると、行方不明の2人はいずれも独身だった。技術教諭の福正純さん(44)は、これまで数回アフガニスタンに行ったことがあり、最近では今年(2005年)1月に訪れたばかり。現地の子供たちの写真を撮り続け、平成16年秋の同校の文化祭では写真展を開催。同僚には「また行ってみたい」と話していたという。

英語教諭の長谷川忍さん(30)も、旅行好きだが、アフガニスタンは今回が初めてだったという。

「2人は洋服の軽装で、女性の方は少し体調が悪そうだった」と、パキスタン西部のアフガニスタン国境の町チャマンにある出入国管理事務所の担当者は、行方不明になっている2人がアフガンに入る時の様子を語った。

同事務所の記録によると、2人が通過したのは8月8日の午後0時半ごろ。前日までに南部カラチから西部クエッタのホテルへ移動していた。クエッタからチャマンまでは車で約3時間の距離だ。アフガン南部の中心都市カンダハルまでは国境から約100キロ。順調に行けば夕方までにたどり着ける。

チャマン入管で2人に応対したアミール担当官は「2人はアフガンに入管した後、カンダハルからバーミヤン、首都カブールを通ってパキスタン北西部トルカムから再びパキスタンに入国すると言っていた」と話していた。

アフガン入国用のビザやパキスタン再入国のためのビザもそろえていた。一帯では住民のほとんどすべてが民族服を着用しているが、2人はジーンズにシャツという外国人らしい格好をしており、リュックサックタイプの荷物を持っていた。女性の方は胃が痛い様子で、アミールさんが薬を勧めたが固辞したという。

アフガン内務省によると、ここには2人の入国記録がなく、足取りはここで途絶えている。

遺体はアフガン南部カンダハル近くのダマン地区で見つかり、一帯に外国人旅行者の通行はほとんど見られず、18日のアフガン議会選挙を控えて治安が悪化していた。武装勢力の犯行声明が出ていないことから、強盗などに巻き込まれた可能性が高いとみられた。

アフガン教諭2人